2009年08月27日 23:56

Smile,Junkyの更新がはかどっていないのですが、
それは私が「事故多発地域」に夢中になっていたから〜。
自分の日記のほうでずっとあらすじを書いていたのですが、
せっかくなので、まとめてこちらにも転載しておこうと思いまっす。
楽しすぎてタイトル画も作っちゃった(笑)
我ながら、いいタイトル画だなあ。
この小説はソンミン、カンイン、シウォンの小説でした。
ドンヘ、ウニョクもクラスメイトとして登場します。
とりあえず主役はソンミンで、ソンミンの語りで構成されています。
でねえ、もうほんっとに、ソンミンがバカなんですよねー(笑)
じれったいたらないよ。
ちなみにこのあらすじは、私の感想がちょくちょく挟まってます。
あと最初はかなりアバウトに書いてるけど、
最後に行くにつれてかなり細かく書いている(笑)
私も熱が入っちゃってね(笑)
では続きからあらすじスタート。
ストーリーは、ソンミンがお母さんが入院している病院にいくところから始まります。
ソンミンのお母さんはソンミンが子供のころから植物状態で入院している。
それは交通事故が原因だった。
そしてお母さんの入費、ソンミンの学費を出して、ソンミンの世話をしているのが
ソンミンのおばさん、ソンミンのお母さんの妹ね。
ちなみにそのおばさんの息子がヒチョルで、すごい嫌なやつ!
ソンミンのおばさんは、ソンミンのお父さんと不倫をしていて、
それを知ったソンミンのお母さんは怒ってソンミンのお父さんだかおばさんのところに行く途中に
交通事故に遭ったの。その負い目があるのかおばさんはソンミンの面倒を見てる。
で、ソンミンはそのことを知っているんだけど、おばさんはソンミンがそのことを知っていると気付いていない。
ソンミンはおばさんの家庭をいつでも壊すことができるけど、
でもそうしたら自分の生活や学費やおかあさんの入院費を払ってくれるひとがいなくなるから、
あえてそうしていないの。
っていう、なんか昼ドラみたいな設定なんだけどね。
で、ソンミンはお母さんの病院に行くと見せかけて?
居酒屋に行って、仲間と一緒にお酒を飲む。
で、この席になぜかカンインがキム・ヨンウンがいます。なぜいるかは知らん。
キム・ヨンウンは中学校三年間、ソンミンをいじめていた男。
ソンミンは友達も彼女もキム・ヨンウンにめちゃくちゃにされた。
そんなやつとなんで一緒にお酒飲んでるのか、よくわからないんだけど。
とにかく今は中学を卒業して高校生になり、
キム・ヨンウンと離れて、やっと自由になり、
チェ・シウォンっていう素敵な友達ができたのね。
チェ・シウォンはお金も持ってて、ケンカも強くて、頼りがいがあって、
一緒にいれば高校三年間は安心だなあっていう感じの男。
ソンミンはヨンウンの顔なんかみたくもないけど、バックにシウォンがいるから心強くて、
中学生の時とは違うんだぞ。成長したんだぞっていう気持ちでいる。
で、ソンミンはこんなふうに
お母さんのところにいくとき、おばさんがくれる交通費を
いつもお酒代にして、お酒を飲んで、
病院へはシウォンのバイクで送ってもらったりしてるの。
このときも途中でシウォンに呼ばれて、
ビリヤードをしているシウォンのところにいく。
チェ・シウォンは友達ウニョクと一緒にビリヤードをしていて、
ヒョクチェはいつも一緒にいるソンミンとシウォンに
「本当に付き合ってんじゃないのか?」って冷やかす。
それが本当にソンミンはいやで、そんなソンミンをシウォンがなだめて、
店を出たふたりは、バイクでソンミンのお母さんの病院へいき、
ソンミンはそのままお母さんの病室に泊まる。
朝になって、シウォンがくれたお金でソンミンはタクシーに乗って家に帰る。
するともう遅刻だよね。
学校へは毎日、おじさんがヒチョルとソンミンを車で送ってくれるんだけど、
ソンミンはおじさんの車に間に合わなくて、歩いていくことに…。
歩いて2時間。途中で授業に参加するのは心苦しいので、
ソンミンはお昼休みまで待ってから教室に行くと、
シウォンが心配していてねえ。
「今度から歩いてくることになったらおれに電話しろよ。迎えにいくから!」
とか言うの。やさしいシウォン。
そして朝を食べていないソンミンにお昼をおごってくれる。お金持ちシウォン。
その日、放課後、突然ウニョクから電話が。
「一緒に遊びに行こう」
で、言ってみると、キム・ヨンウンがいるのね。
三人でお酒飲んでキム・ヨンウンがやけに優しいので不信感を覚えるソンミン。
ウニョクはお酒弱くて酔いつぶれ、ソンミンはシウォンを呼んでウニョクを運んでもらう。
そこにキム・ヨンウンが「あいつがシウォンか…」とか言って怒るの。
「おまえ、どういうことだよ。俺とは三年間一緒にいて、あいつとは数か月なのに、どうして!!」
みたいな。
もうあれだよね。ヨンウンはソンミンが好きなんだよね。
ヨンウンはソンミンが好きでいじめてたのに、
それがソンミンにとっては暗黒の三年間だった。
ソンミンはうすのろ鈍感なやつなので、「何が?」みたいな。
もーー!! 鈍感すぎる!!
そして
「おまえ、本当にシウォンと付き合ってるのか?」
って。
で、ヨンウンはそのあと、優しくソンミンを家まで送ってくれる。
そこに家の前で偶然会ったのがヒチョル。
「なんでヨンウンと一緒にいるんだよ!」って怒る。
どうやらヒチョルはヨンウンが好きらしい…(笑)
でもソンミンは超鈍感なので、「なんで怒ってるの?」ってわかってないのね。
その次の日から、ソンミンは
キム・ヨンウンの
「おまえ、本当にシウォンと付き合ってるのか?」
という言葉が気になって仕方なくて、
ついにシウォンに確認する。
「俺達、どういう仲なの?」的な。
や、ばかなソンミンだからもっと回りくどいんだけど。
するとシウォンがソンミンにキスおーーー!!!
学生の分際で!!!
でもソンミンはこれまたバカだから、
ああ、僕たちはキスできるほど仲がいいってことなのかな?
どあほう。
するとシウォンが
「おまえ、今度から俺とキスする前はタバコ吸うなよ。苦いじゃないか。俺も気をつけるよ」
え!! 僕たち今度からキスする仲なの!?
やっぱり付き合ってるの、ぼくたち!!
って。
やっとわかったソンミン。
でもソンミンは別にシウォンが好きなわけじゃないし、ゲイっていうわけじゃないことを自覚している。
けど、シウォンに依存しきっているから、やっぱりシウォンのこと好きなのか?
よくわからない。
ふたりはそれからキスばかりして(キスだけで済むのか疑問)過ごしてるんだけど、
一方、キム・ヨンウンは毎日ソンミンに連絡してくる。
しつこいからか? キム・ヨンウンと飲みに行く。
キム・ヨンウンがなぜ自分を誘うのか、ソンミンにはわからない。←にぶちん。
もうじれったいし、意味もわからず誘ってくるくるのは嫌なの。
「俺はおまえの顔なんか見たくないし、こんなふうに俺につきまとうくらいなら、
中学校の時のようにいっそ、おれのことを殴ればいいじゃないか。
中学校の時に俺の友達や恋人を奪ったときのように、おまえの好きなようにやればいいじゃないか。
こんなまわりくどいことするなよ」
とソンミンはカンインに言ってしまう。
するとヨンウンが「本当におれの好きなようにしていいのか?」って
どうなっちゃうのー!?
と思いきや、
ソンミンがふと考え付く。カンインが自分に手を出せないような一言。
酔っていた勢いで言ってしまう。
「でも、本当におまえの好きなようにできるかな?」
「どういう意味だ?」
「おまえにおれの恋人が奪えるか? 実は俺、ゲイなんだぜ」
っていっちゃうソンミン。
「俺、シウォンとつきあってるんだ。おれの恋人を奪うか?」
するとヨンウンは喜ぶ。
「ありがとう、ソンミン」を連発するヨンウン。
ソンミンには意味がわからない。
次の日、ウニョクが「一緒に遊ぼう」と言ってくる。
「いいよ」
「キム・ヨンウンも一緒だよ」
「えーーやだ、じゃあ行かない」
断る。
で、その日ソンミンはシウォンとカラオケに行くけど、ずっとキスばっかりしてるから歌わない。 ←謎(笑)
そのときメールが!!
ウニョクからだ。
「おまえが今すぐにこないと、キム・ヨンウンがおまえの秘密をばらすってさ」
っていうメール。
ソンミンは、自分をいじめていたヨンウンとシウォンを合わせたくないから、
お母さんの病院で緊急事態があったから行ってくるとシウォンに嘘をついて、
ヨンウンとウニョクのところへ向う。
ふたりはお酒を飲んでいて、ソンミンも仕方なくお酒を飲み、
場の雰囲気は和やかだったんだけど、
酔っ払ったウニョクがソンミンに「おまえ、本当にシウォンの彼女だな」って連発すると、
ヨンウンが怒り狂い「ソンミンがシウォンの彼女だと?」と、
ウニョクをボコボコにする!!!
ソンミンはどうしていいかわからず、いつもならシウォンを呼ぶんだけど、
今日はシウォンに「病院に行く」と嘘をついてきたから呼ぶこともできない。
そこでウニョクの携帯電話に入っていたドンヘを呼ぶ。
ドンヘは今学校の近くで友達と遊んでいたので、「早く来て」と頼む。
が、
なんとやってきたのはチェ・シウォンだった…。
「どうしてシウォンがここに?」
「ドンヘと一緒に遊んでいた友達はおれだよ」
あーーー。ソンミン、頭わりぃーーーーーー。ざんねーーーーん。
シウォンはすごい怒っていて、
「俺についてくるな。じっとしてろ。俺がいなくなるまでおまえの出す音も聞きたくない」と。
すごい怒ってるシウォン。
ヨンウンは笑ってソンミンを送ってくれる。そしてまたヒチョルにつっかかられる。
ヒチョルは嫉妬してますお。
ソンミンは次の日、登校拒否します。シウォンには会えないから。
でもシウォンからの連絡を待ってる。
登校が遅いと、いつもは電話してくるのに今日はしてくれない。
ああ、怒ってるんだ。
ソンミンはならない携帯電話を握りしめて、ベッドでごろごろしてる。
と、12時ちょっと過ぎにシウォンから電話が。
「今、どこにいる?」
「家…」
「じゃあちょっと用意して、出て来い。今、おまえの家の前だ。ウニョクが入院したから行こう」
窓をあけると、バイクのところでタバコをすってるシウォンが。
シウォンはソンミンを許した。もううそつくなよ、といって。
ソンミンは幸せな気分だ。
で、ウニョクの病室に行くとぉぉぉ!
そこになぜかキム・ヨンウンが。
キム・ヨンウンとウニョクがいっしょに仲良さそうにリンゴを食べている。意味不明。
友達にひどくされるのが大嫌いなシウォンが
キム・ヨンウンに喧嘩を売るが、ソンミンが止めて、シウォンを病室の外に連れ出す。
その後、ソンミンとシウォンは仲良くて、授業中にキスしてたんですよ。 ←この辺、謎すぎる。
ジャンバーを頭からかぶってふたりで隠れてキスして、
先生に「何やってるんだ」って怒られて、ふたりで寝たフリしたりするの。
で、廊下に立たされたのはソンミンだけ。
ふたりで一緒に廊下に立たせたら、またふたりでなにをしでかすかわからないから先生が賢い。
廊下に立たされたソンミンはタバコを吸いたくなって、学校内の秘密の喫煙所に行く。
シウォンが見つけた先生に見つからない場所。
でも、そこでソンミンが見たのはキム・ヨンウン。
学生主任の先生と何やら話している、他校の制服を着たキム・ヨンウン。
なんとキム・ヨンウンが数日後に転校してくるという。
なーーーんてことだ。どういうことだ。ソンミン混乱。
そしてその日の夜かな?
シウォンが用事があると言って、ソンミンを送った後どこかに行ってしまう。
いつもシウォンと一緒にいるソンミンは、シウォンがいないとやることがなくて暇。
で、夜遅く、シウォンがね、ソンミンの家に来るのね。
そのシウォンは傷だらけだったよ。ケンカに負けたことのないシウォンが傷だらけで。
「おまえの顔を見に来たんだ」と。
ソンミンはシウォンがいなくなってしまう気がして、明日学校で会おうと約束する。
けれどその日からシウォンは学校に来なくなってしまった。
その代り、転校してきたのがキム・ヨンウン。
ヨンウンはシウォンの席に座り、学校の生徒たちを手下にしていく。キム・ヨンウン王国を作っていく。
優しいシウォンにあんなに世話になっていた生徒たちが、
まるでシウォンなんていなくなったかのように、
みんなヨンウンの手下になって、ソンミンだけがシウォンを心配して、
ソンミンはそんなクラスメートたちに苛立っていくんだけど。
ソンミンはあるときヒョクチェを問い詰めて、シウォンを消したのがヨンウンだと知るのです。
シウォンにはケンカの強い先輩がいて、その先輩がケンカ相手をぼこぼこにしちゃったのね。
もうそうしたら先輩は少年院に入ることにもなるんだけど、
でも示談金を払ったら許してやるという話になった。
示談金はものすごい高額で払えるわけもない。
しかしその示談金を払ってやるというやつが現れた。
条件付きで。その条件はチェ・シウォンがひざまづいて頼むこと。
そしてその条件付きで示談金を払ってやるといったのが、キム・ヨンウンだった。
うん。
チェ・シウォンはいやいやひざまづいて、先輩たちとも仲たがいして、キム・ヨンウンに負けた。
そういうのがあって、チェ・シウォンはプライドを傷ついて?
よくわからないけど姿を隠していたのさ。
それを知ったソンミンがヨンウンのところに行くと、
ヨンウンは言ったね。
「おまえからチェ・シウォンを奪うことはできないから倒してやったのさ。
お前の周りにあるものは全部消さなければならない。
そうしないと俺が見えないだろう?」
って。
「俺だけを見ろ」的な発言を。
そしてばかなソンミンが気づく。
ヨンウンは僕のことが好きだったのか――!
だからヨンウンは中学生の時僕から恋人を奪ったのか。
「ソンミンはシウォンの彼女だ」とばかにしたヒョクチェをぼこぼこにしたのか。
僕がゲイだといったとき、喜んでいたのか。
全部納得がいく!!!
って気づくの。
すげえ、遅いよぉ、ソンミン……にぶすぎるよぉぉぉぉ。みんな知ってたよぉ、それ。
で、それからソンミンはヨンウンが怖いし、シウォンはいないし、全然つまらない学校。
でもねえ、シウォンが来るんだよねえ、学校に。
シウォンが来るんだよねえ。そしてふたりは自分たちだけだと確信した。
ふたりでいれば何も怖くないよね。クラスメイトがみんなヨンウンの側についていてもね。
ふたりでいれば怖くないね。
ある日のこと。
ソンミンが家でシウォンと電話してるところをヒチョルに聞かれて、
ヒチョルは「おまえ、今誰と電話してたんだ? ヨンウンだろ!」
ってソンミンの携帯をとりあげる。
そしてヒチョルは「シウォンだったのか」と知って、怒る。
で、ケンカになって、
ヒチョルがソンミンのお母さんをばかにしたので
ソンミンは頭にきて、「誰のせいでこんなことになったと思ってるんだ。おまえの母親のせいだろう」と
言ってしまい、もうひどい騒ぎになって、
ソンミンは家でしました。
で、ひと晩はお母さんの病室に泊まり、次の日は普通に学校に行きました。
シウォンには家出したことは内緒にしていました。
シウォンに言ったら、無理にでも家に帰れというから。
それでソンミンは普通どおりに過ごしていたけれど、帰り道、シウォンが「家まで送るよ」って。
「いや、今日はお母さんの病院に行く」
「だめだ。もう遅いからまっすぐ家に帰れ」
「遅くないよ。この時間にお母さんの病院にいくことは今までだってよくあっただろう」
「でもお前、病院に行ったらそのまま家に帰らないつもりだろう?」
って。
実はシウォンは、昨日ヒチョルから電話をもらっていて、ソンミンが家出したことを知っていた。
「おまえが自分から話してくれると思って、黙っていたんだよ。なんで話してくれなかったんだ」
「だって話したら無理にでも家に連れ戻そうとするでしょ?」
「おれがそんなことするはずないだろ」
「本当?」
「でも病院は寒いだろう」
「仕方ないよ」
「じゃあ、いいところに連れていってやる」
「どこ?」
「病院よりも暖かいところだよ」
ってここらへんのセリフでもう私はにやにやしっぱなし。
そしてソンミンはバイクの後ろに乗って、シウォンにぎゅっとつかまっているときに
「暖かいところってのはシウォンの背中かもしれないなあ」って思うの。
あははははは。照れるー。かわいー。
連れて行ってくれた場所は、とても小さいぼろい部屋だった。
それはなんとシウォンの家だった。
シウォンは両親もいなくて、一人暮らしをしていたの。
お金も服も時計もいっぱい持っていて、バイクも何度か変わって?
ソンミンにタバコやごはんを買ってくれたシウォンがこの狭い家に?
ソンミンはびっくりした。
「そういう顔をすると思って、今までずっと黙っていたんだよ」ってシウォンが言った。
「だけど、おまえに隠し事してほしくないから、おれも隠すのはやめようと思って連れてきたんだ」
って。
「だから俺を後悔させないでくれ。こんなふうに見せたこと、後悔させないで」
私この辺でもうなんかちょっと泣いてた(笑)
「おまえがよければ、ここにいていいよ」と。
そしてふたりは一緒に暮らしだしました。
携帯電話の電源を切り、学校にも行かないで、ふたりで遅くに起きて、一緒にラーメン食べて。
シウォンの腕枕で寝るソンミン。羨ましい(笑)
で、何日かしてソンミンはおかあさんの病院に行くんですな。ひとりで。
病室に置いてきた着替えを取りに行きたかったし。
するとおかあさんのベッドの横に誰かがいた。
それはキム・ヒチョルだった!!! しかも傷だらけだった。
ヒチョルはずっとソンミンを探していて、病室でずっと待っていたらしい。
キム・ヒチョルはキム・ヨンウンの気持ちがソンミンに気持ちが向いているのに嫉妬して
盗み聞きしたソンミンとシウォンの電話のことをヨンウンに告げ口した。
そしたらヨンウンががっかりして、ソンミンのことを嫌いになると思ったから。
でも違った。ヨンウンはヒチョルを殴った。
ヒチョルはとても傷を受けた。ずっとずっと言えずに好きだった人に傷つけられて。
ヒチョルはソンミンが本当に嫌いだと言った。
こうやってソンミンは自分のせいで周りのひとが少しずつ傷ついていっているのを感じていた。
人気者だったシウォンはソンミンのせいでのけものになり、
ヒチョルはヨンウンに傷つけられ、
クラスメイトのドンヘやヒチョルもヨンウンの気まぐれでぼこぼこにされた。
そういえば前にドンヘが、
またもとのようにシウォンと仲良くしたいといってソンミンに相談をしてきたことがあった。
それをヨンウンに言ったら、ソンミンが謝れば許してやるって。
それでドンヘがソンミンにお願いしに来たんだけど、ソンミンはそれを断っていた。
で、ソンミンはキム・ヨンウンに連絡を取る決心をした。
朝、電話の電源を入れて、
おばさん、キム・ヒチョル、ドンヘ、ウニョクの着信のほかにあった。
キム・ヨンウンの着信履歴。
電話をするとヨンウンは怒った声で「学校に来い!」
「わかった行くよ」
そしてソンミンとシウォンは学校に行く。
と! クラスに人が集まっていた。
なんと、イ・ドンヘがキム・ヨンウンにぼこぼこにされていた。
たまらず飛び出すシウォン。
「おまえたち、友達がやられているのにどうしてただ見てるんだ? ばかじゃないのか!」
そしてドンヘを助けるシウォン。
するとクラスメイトたちもドンヘの周りに集まり始める。
それを見てヨンウンは笑っていた。
「チェ・シウォン。おまえにチャンスをやる。選べ。こいつら友達みんなか、ソンミンかどちらかを選べ」
クラスメイトの目がシウォンに懇願していた。
頼むよ、シウォン。俺たち、友達だろ? 助けてくれよ。
シウォンは選べずにうつむいた。そんなのがソンミンには耐えられなかった。
「もうやめろよ。こんなくだらないこと。わかった。俺がもうシウォンと一緒にいるのはやめるよ」
「ほら、結局こうなるんだよ」とキム・ヨンウン。
「行くぞ」とヨンウンがソンミンの手を掴んだ。
人が別れてふたりの通り道を作り、ソンミンはヨンウンに連れられて学校を出た。
校門の前には黒い車。それはソンミンがすごく見慣れた車だった――。
ヨンウンの車に乗せられたソンミン。
するとそのとき、「ソンミン!!」
呼ぶ声がしてソンミンが窓の外を見ると、必死に走ってくるシウォンが見えた。
それと同時にヨンウンが「出せ」
走り出す車。校門を出て、シウォンの姿は見えなくなった。
「すぐに全てを忘れられないかもしれないけれど、いつかは忘れられるさ」
ヨンウンが言った。
車はソンミンの知らない道を走り、
ついた先は学校からそう遠くないところにあるマンションだった。
そこはヨンウンがひとりで暮らすワンルームマンション。
ヨンウンの部屋には、ヨンウンによく似合う大きいサイズのベッドとテーブル
それくらいしかなかった。
ヨンウンはさっき殴っていたドンヘの血がついた制服を脱ぎ、
シャワーを浴びにいった。
その間にソンミンはかばんを投げ出し、大きなベッドに寝転がった。
今なら逃げられるのに、ソンミンはそんな力もなかった。
そのとき、ふと枕もとにある写真立てが目に入った。
それを見てソンミンは絶句した。
そこには中学校の制服を着て笑っているヨンウンと
無理やり腕を回されレンズを睨みつけるソンミンが映っていた。
ヨンウンにいじめられていた地獄のような日々の写真を
ヨンウンが飾っていると思うとソンミンは頭にきて、写真立てを壁に投げつけた。
そして写真をびりびりに破いてしまった。
「何してるんだ!」
シャワーを浴びて出てきたヨンウン。
ヨンウンが殴ると思った。しかしヨンウンはひざまづいて、破れた写真を拾い集め出した。
そんな姿が信じられないソンミン。
シウォンをひざまづかせたヨンウンが、今自分の目の前でひざまづいているのが信じられない。
「何してるんだ、キム・ヨンウン」
するとヨンウンは言った。
「おまえは知らないだろう。俺を慰めてくれたのはこの写真だけだったんだ。
おまえが俺から逃げてシウォンと一緒に暮らしている間も、
この写真の中のおまえだけは俺に笑いかけてくれた」 ←勘違い。
笑ってんじゃねえよ、にらんでんだよ。
「それなのにどうしておまえは大切な写真を!!」
ヨンウンはソンミンをベッドに押し倒し、ソンミンの首を絞めた。
「おまえはひとりだけつらかったような顔をしているが、おれだってつらかったんだ!」的な。
そして首を絞める手が緩んだとき、ソンミンははっとした。
ヨンウンが泣いてた。
そしてヨンウンが部屋を出て行ってから、ソンミンはひとりでゴロゴロしていたけれど
空がだんだん暗くなってきてヨンウンも帰ってこないし、
お母さんの病院にでも行こうと思い、かばんを持って部屋を出た。
エレベーターで一階まで下りた時、マンションの前にヨンウンがいるのに気づいた。
ずっとそこにいたのか? ヨンウンはタバコを吸っていた。
ソンミンはそれを無視して出て行こうとしたとき。
「いくな」
ヨンウンが言った。
「どうせ帰る家もないんだろ。全部知ってる」
ソンミンの足が止まった。
「うまくやるよ。やさしくするよ。怒らないし殴らないからどうか行かないでくれ」
あの天下のヨンウンが自分に懇願する姿を見て、ソンミンは同情心がわき、ヨンウンの部屋に戻る。
ヨンウンはソンミンに気を使って、夜寝るときは別々で寝た。
ヨンウンが床出てて、ソンミンに大きなベッドを譲った。
でもソンミンは寝られなくて、ヨンウンが眠ってからそっと携帯電話を手にした。
ずっと電池を抜いていた携帯電話のスイッチを入れると、着信履歴とメールが。
シウォンからのメールがたくさん来ていた。
【ソンミン どこだ? 電話を取ってくれ】
【どうして携帯電話を切ってるんだ。どこだ。なにかあったんじゃないよな】
「キムヨンウンと一緒にどこかに行ったのか教えてくれ。俺が迎えに行くから】
【ソンミナ、おまえはどうしてこんなふうに電話を受けてくれないんだ】
【おまえと連絡できるまで、電話とメールするよ。ソンミナ。メールを見たら連絡してくれ】
【どうか電話してくれ。メール返信でもいい】
全部シウォンだ。
【ソンミナ…愛してるよ】
↑ああ、切ない。
それを見た瞬間、ソンミンは携帯電話を落とし、わんわん泣きだした。
するとそのとき、
「もしもし? ソンミナ? ソンミナ?」
声がした。携帯を落とした瞬間に、シウォンと電話がつながってしまったのだった。
「答えてくれ、ソンミナ。どこにいるんだ? お母さんの病室にもいなくて、おばさんの家にもいなくて、
どこにいるんだ? キムヨンウンと一緒なのか? 答えてくれソンミナ」
でも泣くしかないソンミン。
「すぐに迎えに行くから教えてくれ。おまえを探すために俺はまだ外にいるんだ。
だからすぐに迎えに行けるから、泣いてないで答えてくれ。
会いたくて死にそうだよ。ソンミナ。俺がおまえに会わないなんて
一日も耐えられなくて狂いそうだよ。おまえは俺を殺したいの? 狂わせたいの?」」
ソンミンも会いたくて死にそうだったが、ソンミンはもう決意していた。
「おまえは友達たちのことを心配してキムヨンウンのところに行ったの?
それなら関係ない。俺はおまえがいればそれでいいんだ」
とシウォンが言ったが、そうではないとソンミンは思っていた。
かっこいいシウォンには、シウォンにかっこいい翼をくれるあの友人たちが必要なのだ。
友人たちに無視されるシウォンではなく、友人たちが多くて頼られるシウォンじゃなければならない。
「切るよ」
ソンミンはそれだけ言って電話を切った。
そしてソンミンが部屋に戻ると、
「チェ・シウォンか?」
怖い顔をしたキム・ヨンウンがソンミンをにらんでいた。
怒りだすヨンウン。ソンミンは「違う」と言った。
「嘘つけ。シウォンだろ。答えろ」
「違う」
するともうヨンウンが怒り出した。優しくする、怒らない、殴らないと言ったヨンウンが。
「おまえは最初からそういうつもりだったんだな。俺になびいた振りをして、
隠れてシウォンに連絡をとっていたんだな!!」
ソンミンにはそんなつもりはなかった。
だますつもりはなかったし、シウォンのことは忘れて本当にヨンウンといるつもりだった。
「どうして俺はばかだったんだ。携帯電話があればいつでも連絡をとれることに気付かなかったなんて」
そしてヨンウンはソンミンの携帯電話をベランダから投げ捨ててしまった。
ソンミンの唯一の外につながる方法がなくなってしまった。
「優しくしようと努力してもこんな結果になってしまうのなら、
おれにはもっとひどいやり方だってできるんだぞ」
そして怒り狂ったヨンウンはソンミンを襲ってしまうんですよー…。
洗面所に逃げて、台所に逃げて、ナイフまで取り出して自分を殺そうとしたけれど、
「おまえが俺のものになるまで、おまえは死んではいけない」とヨンウンが言って。
かわいそうなソンミン。逃げようとしたけれど…。
りんたろも心の中で「逃げてー!!!」と「シウォン助けにきてーー!!」と
願ったけど、ソンミンはヨンウンに犯されてしまいました。
もうその間際にシウォンがソンミンの頭に浮かんできてね、
「だめだろう、ソンミナ。俺とだってそんなことしてないのに、キム・ヨンウンとなんてだめだろう」
って聞こえてくるの。
あーーーーーーかわいそう。本当ひどい。ばか。キム・ヨンウンのばか。
結局こうだよ。いつもソンミンは犯されるんですよ…(笑)
本当…痛そうでした(爆) そりゃ痛いよ。
でも次の日、ヨンウンはソンミンをお風呂に入れてあげて、
傷ついたところに薬を塗ってソンミンをいたわり、
ソンミンに謝ったのでした。
「おまえにだまされたと思って、かっとなってしまって、ごめんね」
ヨンウンはいきなり怒ったり、やさしくなったりソンミンを混乱させるばかり。
そうやって学校に行かないうちに期末考査も終わり、
学校は冬休みになってしまいました。
ソンミンはヨンウンのくれるごはんを食べて、タバコを吸って、マンガを読んでテレビを見て過ごし、
ヨンウンの思い通りに飼いならされて、ペットのように人形のように暮らしました。
ヨンウンは叔母さんが心配するんじゃないかと連絡もして。
そしてヨンウンはときどきシウォンの噂を教えてくれた。
最初はあそこで事故を起こしたとかこいつを殴ったとかいう噂だったが、
そのうちシウォンは女子高生とつきあってるらしいという噂に変わり、
ソンミンはそれを聞き流していた。
シウォンにはすべてが最高でなければならない。恋人も。
スリムで髪の長い綺麗な女がシウォンに似合うと思いながら、
ソンミンは自分の中のシウォンへの気持ちを無理やり殺していった。
そして新学期が始まった。ソンミンとヨンウンは別のクラスだった。
ヨンウンは「他の友達と話すな。休み時間は絶対におれに会いに来い」とソンミンに命令した。
ソンミンは休み時間、ヨンウンのところに行く。
するとヒョクチェが「あーーソンミン、おまえどこに行ってたんだよー!!」って話しかけてきて、
それをみたヨンウンが怒り、
「ソンミン、おまえ他のやつと口を聞くなと命令しただろう!!」って
ソンミンの髪をつかんでひきずっていき、ソンミンがいつも隠れてタバコを吸っていた
誰にも見つからないところにつれていき、ソンミンを殴る。
「ごめん、ヨンウン。俺の話をちょっと聞いて」
でもヨンウンは聞かない。ソンミンを殴る。
するとそこにシウォンが!!!
「もう我慢できない。おまえなんて死んでしまえ!」
と、シウォンはヨンウンをぼっこぼこにした。もう本当ぼっこぼこぼこぼこにした。
その夜、シウォンはヨンウンに見つからないように旅館(?)の部屋をとって、ソンミンをつれて
友人たちとみんなでお酒を飲んだ。
またこうして会えると思わなかったよーってみんなで楽しく。
そしてみんな酔っ払って、帰った後、散らかった部屋を片付けるシウォン。
ソンミンはちらっとシウォンの携帯電話を見た。
ヨンウンが言っていた「最近彼女ができたらしい」という噂が気になって、
ソンミンはシウォンの携帯電話のスライドを開けて、着信履歴を見た。
そこにあったのはぎっしりソンミンの名前だった。
シウォンはソンミンがいなくなった日から一日も欠かさずソンミンに電話していたのだった。
携帯を落とし、ソンミンは泣きだした。
「どこか痛いの?」
シウォンが心配して駆け寄った。
「シウォナ」
シウォンの名前を呼び続けるソンミン。そして
「シウォン、抱いて」
するとシウォンはソンミンをぎゅっと抱きしめた。
「そうじゃなくて、寝よう」 ←ソンミン、積極的。
「いいの?」 ←シウォン、びっくり。
そしてふたりはいい感じになるんだけど、
突然、シウォンが泣きだした。
「どうしてこんなに幸せな瞬間なのに、おれは悲しくなるんだろう?」
シウォンは、傷だらけのソンミンの身体を見て泣いていたのだった。
「おれが守ってやらなきゃならなかったのに…つらかっただろう…痛かっただろう…ごめん」
そうして泣いているシウォンの声がソンミンが嫌で、それが夢であればいいと思った。
早く起きろとヨンウンが手をつかんで立たせてくれるほうがよっぽどいいと思った。
怖いヨンウンよりも、ソンミンは、シウォンが泣いていることのほうが嫌だった。
それからソンミンはずっと旅館にいた。シウォンはソンミンをひとりにさせなかった。
自分が離れないといけないときは、仲間を呼んで見張らせた。
だいたいはヒョクチェが来て、ソンミンと一緒にいたけれど
あるときドンヘが来た。
ドンヘは「あのときおまえがヨンウンのところに行くといったのは、おれがお願いしたから?」
って聞いてきた。ソンミンは答えられなかった。
ソンミンは長いこと、ドンヘが助けてくれという目でソンミンを見ていたのを無視していたから。
するとドンヘは
「ごめん、こんなこともう聞かないよ。それより少し外へ行こう。おまえ、長いこと外に出てないんだろ? つまらないだろ?」
ソンミンは確かにつまらないし、外に出たいと思ってドンヘについていった。
どこに行くのだろうと思っていたけれど、そのうちソンミンは、
ドンヘがソンミンのおかあさんの病院に向かっているのだと気付いた。
「ドンヘ、もしかしておかあさんの病院へ?」
「たまに外に出れたときくらい、おかあさんの顔を見たいだろ?」
ソンミンは感動した。しかし、おかあさんの病室は5階なのに、ドンヘがエレベータを3階で止めた。
「ちょっとドンヘ、おかあさんの病室は5階だよ」
「知ってるよ」
ドンヘが足を止めた場所は――。
キム・ヨンウンの病室の前だった。キム・ヨンウンの名前がかかれたネームプレートが光っていた。
「ソンミン、おまえには本当にすまないと思うけど、もう一度だけ俺の頼みをきいてくれないか」
こいつ、このやろう。ドンヘがまた残酷なことを言う!!
「おまえが戻ってきてから、おれたちは少しずつキム・ヨンウンにやられてる。
おまえには本当に悪いと思うけど、おまえがヨンウンのところにいれば、
おれたちはみんな幸せに前みたいに暮らせるんだ。おまえひとりがいなければ」
重いよぉ、このテーマ重いよぉ。ちょっとイジメ問題入ってるよぉ。
ドンヘはソンミンをキム・ヨンウンの病室の前に残し、行ってしまった。
ソンミンはそのままヨンウンの病室に入ることはできず、お母さんの病室に行った。
そして泣いた。
「お母さん、僕は小さいときにお母さんをなくして、お父さんもいなくて
おばさんの家で過ごして、キム・ヒチョルにいじめられて、ちゃんとやってきたでしょう。
3年間、ヨンウンにいじめられるのにも耐えてきたのに、
そんな僕が、どうして幸せになってはいけないの?」
ソンミンは今までのことを思い出していた。
苦しかった中学校の自分と
高校に入ってシウォンに会って幸せだった自分。
そして今の自分はまた中学校の自分に後戻りだった。
離れようとすると余計に引き合うソンミンとヨンウンの悪循環。
そうだった。いつもそうだったな。
ヨンウンが作った安定的な枠の中にいるのは俺だけじゃなきゃならなかったのに
だからヨンウンは耐えられなかったんだな。俺の隣に他人がいることに耐えられなくて奪ってきた。
もしも俺がヨンウンを怖がらなければ、逃げなければ、
最初からこんなふう悪循環にはなっていなかった。
今、この悪循環を断ち切るには――。
と、謎の悟りをひらいてソンミンが向かった先はキム・ヨンウンの病室。
病室で背中を丸めてヨンウンは寝ていた。
「おまえ、何してるんだよ、キム・ヨンウン、寝てるのか?」
何も言わないヨンウン。ヨンウンは泣いてた。
シウォンにぼこぼこにされてソンミンを奪われ、
足も折れて、プライドをずたずたにされて泣いていた。
ソンミンは決心した。
ヨンウンとの悪循環のシナリオを断ち切るには、逃げようとするだけじゃだめだ。
本当にふたりが離れるには、今までのことをすべて忘れてヨンウンと向き合う。
すべて忘れて、自分をいじめるヨンウンを忘れて、大好きなシウォンを忘れて、友達たちのことも忘れて、
自分を愛しているヨンウンを、自分でなければだめなヨンウンを
ソンミンは受け入れることにした。 ←すげえ。
「よく聞け」
泣いてるヨンウンにソンミンは言った。
「俺は全部忘れる。今までおまえが俺にしてきた全部のことを忘れる。
だからお前も全部忘れて。俺が愛した人のこと全部忘れて。考えるな」
ヨンウンが泣きやんで、体を起こした。
「俺はお前だけ見るから。お前も俺だけを見て。他の人のことは考えないで。俺達そうしよう」
「ソンミナ?」
「辛かったときのことは全部なかったことにして、普通に出会ったかのように、他の恋人たちのように、
笑って、ケンカして、泣いて、仲直りして、そうやって他の恋人たちと同じように別れよう。
そんなふうに俺たちは別れよう」
難しいね。このあたり。
たくさんの恋人たちが別れるように、自分たちも付き合って別れようとソンミンが言ったんですな。
ヨンウンが喜ぶような、悲しむような声で
「おまえ、本気でそんなことができるの?」
ソンミンは返事の代わりに、ヨンウンの手の上に自分の手を重ねた。
「うまくやるよ。本当に。誓うよ。おまえが別れたいって思わないように、絶対にケンカもしないで優しくするよ」
ヨンウンはソンミンを抱きしめた。
シウォンにぼこぼこにされたキム・ヨンウンは一週間くらい入院しなければならなかった。
片足が折れてギプスをしているヨンウンに
ソンミンはシウォンにしてあげるのと同じようにキム・ヨンウンに接した。
ふとんをかけてあげて、汗をかいたら拭いてあげて、キスもして、
タバコを買ってとわがままを言って、リハビリのときには、
シウォンがサッカーをしているときに応援していたのと同じようにヨンウンを応援した。
「怖いな。身体が全然痛くないんだ」
キム・ヨンウンが言った。
「不思議と身体が痛くなくて、それで怖くなる。まるでこれが夢みたいで――。夢だったらどうすればいい?」
「夢じゃだめなの?」と、ソンミン。
「当り前だろう」
「どうして?」
「こんなふうにおまえといられるのが夢だなんてだめだ」
顔を赤くしながら言うキム・ヨンウン。
キム・ヨンウンに対する警戒心を持たないようにしてから、
ソンミンはキム・ヨンウンのさまざまな姿を発見した。
ヨンウンにいじめられていたひどい4年間には見たことのなかった少年っぽい純朴な姿。
まるで初恋に苦しむあか抜けない少年みたいに顔を赤くして恥ずかしがったり、
ソンミンがいなくなるんじゃないかと不安に思って悩んだりしていた。
ときどきソンミンの頭にはシウォンがよぎることもあったが、
そんな純朴なヨンウンのケガの面倒を見ていると、迷いも消えて、ヨンウンに接することができた。
キム・ヨンウンもソンミンを怒ったり殴ったりすることはなくなったし、
だからこそソンミンは警戒心を解くことができた。
↑
悪い循環から良い循環に変わったね。よかったよかった。
私ねえ、もうこの辺すごい嬉しかった。
どうやらりんたろはソンミンとカンインのカップルが好きらしい(笑)
それまで、いつ割れてもおかしくない薄い氷の上を歩いていたふたりは、
はじめて頑丈な道の上を歩き始めていた。
夜、病室で、ヨンウンはベッドに横なり、ソンミンは補助ベッドに横になって眠る前の時間。
「退院したら引っ越ししようと思うんだ」
ヨンウンが言った。
「引っ越しして、転校したほうがいいだろう」
それはシウォンを警戒してのことだとソンミンは理解した。
「俺はそうしたいけど、おまえはどう?」
ヨンウンは控えめに聞いた。
「一緒に行かないか」
ソンミンもそうしなければならないと考えていた。
ヨンウンが退院をしたら学校に行かなければならないし、そうしたら自然とシウォンに会わなければならないから。
「わかったよ」と、ソンミンは答えた。
「ありがとう。おやすみ」
眠るヨンウン。けれどソンミンは眠れない。シウォンの顔が頭をよぎる。
散歩の時間だって、リハビリの時間だって、お昼ごはんの時間だって、いつでもその話をできたのに。
そんな忙しい時間にその話をしてくれたら、シウォンのことを思い出さずに済んだのに。
どうして眠る前の、シウォンのことをたくさん考えられる時間に、
おまえはそんな話を持ち出してくるんだ?
ばかじゃないのか。どうして今言うんだよ。ヨンウン、おまえは本当にばかだ。
こんなふうに親切に、シウォンを思い出す時間を用意してくれなくてもいいのに。
ソンミンは、今ごろシウォンは何をしているんだろうと思った。
友達たちとお酒を飲んでいるか、それともバイクでドライブをしているか、それともあの部屋で寝ているか――。
そう思ったとき、涙がこみ上げてきた。
そんなんじゃだめだ。シウォンはあの部屋でひとりぼちで寝てるなんてみすぼらしい姿じゃだめだ。
遅くまでお酒を飲んで、外泊して、
だってあの部屋にはまだ、俺の着替えも歯ブラシもあるんだから、そんな家にひとりで帰るな。
ソンミンは泣いた。
ヨンウンと一緒にいるようになってから、歯をくいしばって涙なんて流さないようにしていたのに
我慢していた涙がわっと溢れ出した。
布団で口を覆ってこらえようとしたけれど、だめだった。
寒くてぼろぼろのあの部屋で、みすぼらしい姿で一人夜を明かすシウォンの姿が鮮明に描かれた。
シウォンの隣に違う彼女がいる姿は我慢できるのに、
自分のことなどすっかり忘れて友人たちと楽しく遊ぶシウォンの姿は我慢できるのに、
なぜかシウォンがひとりぼっちで夜を明かす姿だけは耐えられなかった。
「足が折れてるんだから、そばにいって涙を拭いてやれないだろ」
暗闇の中でヨンウンの低い声。
「泣くな、畜生」
そしてヨンウンは何も言わずにただ溜息だけを吐いた。
ソンミンのむせび泣く声とヨンウンの溜息があふれる夜は、長くて痛かった。
ヨンウンが退院した。ヨンウンは家で安静にしてなくてはならなくて、
「その間にヨンウンは転校の手続きをして、ソンミンのおばさんにもうまく説明するから
おまえは何も心配しなくていい」とソンミンに言った。
ソンミンは改めてヨンウンのバックにある両親のお金を感じる。
ヨンウンは自分の思い通りに転校もできて、何と言ったかは知らないけれど、
ソンミンがヨンウンと一緒に暮らさなければならない最もらしい理由を作り上げておばさんにも説明して、
ソンミンがやりたくないことは全部他の人にやらせた。
ところでソンミンはヨンウンが入院している間、着替えを取りにいったりシャワーに帰ったり、
よくヨンウンのマンションに通っていたが、そのあいだにソンミンは部屋をきれいに掃除していた。
退院して帰ってきたヨンウンのために。
けれどヨンウンが感動したのは部屋が掃除してあったこととは別のことだった。
キム・ヨンウンの目にとまったものは写真立てだった。
ソンミンはあのときびりびりに破った写真をつなぎ合わせて、
似たような写真立てを買ってきて元の場所に置いておいたのだった。
「ソンミン……お前……」
ソンミンは照れくさくてヨンウンを無視して夢中で荷物を解く。
「これ、おまえがやったのか?」
それでも無視していたらヨンウンが来てソンミンのことをぎゅっと抱きしめる。
「ちょっと、今荷物解いてるんだから離してよ」
「ソンミン、おまえはなんてかわいいやつなんだ」 ←書いてて照れる。
「もう放してよー」
ソンミンはヨンウンの手を振り払おうとするけど、おの力がすごくて抜けられない。
見つめあうふたり(笑)
ヨンウンが真顔で、
「この幸せが夢だったらどうする?」
「じゃあ一発殴ってやろうか。きっとすごく痛いよ」
「それ以外で」
「じゃあ頭から水をかけてあげる。冷たいよ」
「それ以外で」
「じゃあ――」
そのとき、ヨンウンが突然ソンミンにキスをした。 ←やぁだ、照れる。このへん本当照れる。
で、ヨンウンがソンミンを押し倒して、真昼間からやっちゃおうとするんだけど。 ←よいこのみなさん、ごめんなさい。
自分のベルトのバックルを外そうとするヨンウンの手をソンミンがぴしゃりと叩いて、
「ばか! 何興奮してんだよ」
「なんで? いいじゃないか」
「これから荷物解いてごはん食べないといけないし、
シャワーも浴びなきゃならないし、疲れたからちょっと寝ないとだめなんだから」
「おい、イ・ソンミン! おまえのことかわいいって言ったの取り消しだ」
「だったらあれ、捨てちゃってもいいの?」
ソンミンが写真立てに目をやると、ヨンウンはしゅんとしておとなしくなった。
ここらへんのやりとりがねえ、本当に仲のいいカップルになったようで
りんたろさん本当にうれしかったんですよ。
最悪だったふたりの関係が素敵に生まれ変わった!!
前は気がつかなかったが、キム・ヨンウンは料理もよくした。
本当にソンミンが見たことのないたくさんの姿をヨンウンが持っていた。
ソンミンはベッドに座って、ヨンウンの広い背中と肩を見ながら
昔は怖いと思っていたはずのその背中が、
今はなんとなく頼もしいと感じ始めていた。
荷物を整理して、ご飯を食べてシャワーを浴びたらもう夜になった。
夜になるとヨンウンはふとんを敷き始めた。
冬休みのころからずっとそうだったが、ヨンウンはソンミンを犯すとき以外 ←表現が悪い(笑)
一度もベッドに上ってきたことはなかった。
それはヨンウンの思いやりで、大きいベッドはソンミンのものだった。
電気を消して、それぞれ横になったふたり。
ソンミンはずっと病室の狭い補助ベッドで眠っていたから、広いベッドがぎこちない。
「おい、ヨンウン、起きろ。起きろよ、ちょっと」
呼んでもヨンウンは起きないようとしないので、ソンミンは枕もとになった紙屑をヨンウンに投げつけた。
「なんだよ……」
目を覚ましたヨンウンが機嫌悪そうに答えた。
「ベッドの上で寝ろよ。けがしてるんだし」
「何?」
「だから、ベッドに上がってこいって」
「いいの?」
「心変わりする前に早く」
ヨンウンは布団と枕を抱えて立ち上がったが、ベッドをじっと見下ろして突っ立っていた。
「何してるんだよ」
「本当にベッドで寝ていいの?」
「いいって」
「じゃあお前が床で寝るの?」
「なんで俺が床で寝なきゃならないんだよ」
「じゃあベッドで一緒に寝るの?」
「嫌なの?」
「あ、いや、おまえが大丈夫なのかと思って」
ソンミンが少しよけて、場所を譲るとヨンウンはソンミンの隣で横になった。
「ほんとに怖いよ。夢みたいで。これは今俺が寝て見ている夢じゃないのか」
「そうだね。きっと夢だ」
「そうか、やっぱり夢か」
キム。ヨンウンが笑った。
幸せそうなふたり〜。
そしてヨンウンが診察の日。
「準備できたらいくよ」
「早く準備したな」
「早く準備しないとヨンウンが怒るでしょ」
もうすぐ診察時間が終わるので、ふたりは急いだ。
黒い車に乗って病院に向かった。
ソンミンは窓の外を眺めながら、
この車に乗せられヨンウンのマンションに連れて行かれたとき
シウォンが自分の名前を叫びながら走って追いかけてきたことを鮮明に思い出した。
「何を見てるんだ?」ヨンウンが言った。
するとソンミンが何気なく、
「バイクに乗ってたらもっと楽しいのに」と答えてしまう。
ヨンウンの鋭い視線を感じたが、もうごまかすこともできないし、ソンミンは素直に言った。
「バイクのほうが走っている実感が湧くよ。車の中は閉じ込められているようでつまらない」
ヨンウンは知っているはずだった。
ソンミンがバイクを持っていないことも、ソンミンがシウォンのバイクの後ろに乗って登校していたことも。
これまでシウォンの話も他の友人たちの話も、ふたりの間ではタブーだった。それを今、破ってしまった。
ヨンウンが怒り出すのではないかと、ソンミンはびくびくした。
しかしヨンウンが言ったのは意外な言葉だった。
「足が治ったら、バイクを買うから、それまで少し待っていてくれ」
「え?」
「車が嫌なら、バイクを買うよ。これからいろんなところにふたりでいかなきゃならないのに、
車が嫌ならバイクを買うしかないだろ」
「うん…」
「足が治ったらすぐに買うから、それまで少しだけ車でも我慢して」
ヨンウンは気丈な声で言ったが、心は憂鬱であることが明らかだった。
「チェ・シウォンの代わりでもいいんだ」ヨンウンが言った。
「シウォンがおまえにしてやったことは、俺も全部してやりたいんだ。おまえが俺のそばにいるのが嫌にならないように」
「ヨンウン……」
「だから少し俺を見てくれ。こんなに努力してるじゃないか」
「ばかだな、おまえ」
「そうかもしれない」
二人は目を合わせて笑った。
もーーーふたり、ラブラブな雰囲気を醸し出してるでしょ。
そしてこの照れる会話たち。
日本語で書くのも照れるし、本当、もう…どうしようもないくらいラブラブでしょう。
病院の前に車が到着した。
ソンミンは、ヨンウンの真摯な態度にこたえる姿を見せてやるために、
先に降りてヨンウンに手を貸してあげようと思った。
「ちょっと待ってて」
ソンミンは車を降りて反対側に回り、ヨンウン側のドアを開けた。
そのときだった。病院の前にあった人影を見た。幻かと思ったが、幻ではなかった。
それはチェ・シウォンだった。ソンミンはびっくりして、慌てて運転手のおじさんに声をかける。
「あ、おじさん。やっぱりちょっと駐車場に止めてきてふたりで先に病院に入って下さい」
「ソンミン?」
「ちょっとトイレ行きたくなっちゃって。ほら、もう診察時間が終わるだろ。だから先に行ってて」
「ああ、わかった。早く来いよ」
こうしてうまくその場をやり過ごしたソンミン。
チェ・シウォンがやってきた。チェ・シウォンの顔は青白くやつれていた。シウォンは怖い顔でソンミンをにらんだ。
「おい、なんだよ。そんな怖い顔するなよ」
ソンミンは気丈に振舞う。
「ひ、さしぶりだよね。元気だった? なんか顔色よくないね」
しかしシウォンは何も答えない。
「どうして病院に? どこか悪いの? それとも誰かのお見舞い?」
「黙れ!!!」
突然シウォンは怒鳴り、ソンミンの手をつかんで引っ張って行った。
つれていかれた先は、ソンミンのお母さんの病室だった。
「なんだって? 何しに来たんだって? どこか悪いのかって? 誰かのお見舞いかって? ばかじゃないのか!!!」
「シウォン……」
「俺の名前を呼ぶな。俺は死ぬ気でおまえを探してたんだぞ。お前のおばさんの家で一日中待ってたんだ!!
この病院の前でも一日中待ってたんだ。
もしお前が生きているのなら、きっとお母さんの病室には来ると思って!!
もしかしてお前が俺を避けてるんじゃないかって、そう思って、
お前が居留守を使ってるんじゃないかって思って!!
俺はあのキム・ヒチョルに、おまえに会わせてくれって泣きながら頼んだんだ!!」
何も言えないソンミン。
「ヨンウンの家を探したけど、先に手が打ってあって、もう引っ越した後だった。
お前を探そうとあがいたけど、どこにもいなかった。俺がどれだけ怖かったかわかるか?
おまえが俺を探しながら、怖がってるんじゃないか、痛がってるんじゃないか、泣いてるんじゃないかって!!
それなのにおまえは!! 元気だったかって?」
「シウォン」
「久しぶりだって? そんな挨拶がよくできるな。こんな俺を見て、おまえはそんな言葉がよく言えるな。
おまえはそんなにひどいやつだったのか」
シウォンは床に座り込んだ。ソンミンはいつの間にか泣いていた。
こんなに絶望的な二人の関係をどうすればいいのか。
ソンミンは自分さえ犠牲になれば、シウォンも友人たちも楽に暮らせる。
それがシウォンにとっても自分にとっても最善だと思っていた。
しかし、そうじゃなかったのだ。
どうして自分がいなくなっても、シウォンには友人たちがいればそれでいいと思ったんのう。
そんな単純に終わるはずはないのに。
けれど今さら自分が揺れるわけにはいかなかった。もう誓ったのだ。
自分は残忍で無慈悲な人間にならなければならなかった。
もう何もかも忘れてヨンウンだけを見ると誓った。
そう誓ったときから、シウォンが知っているイ・ソンミンは死んだのだ。
シウォンには本当にすまないが、仕方がないことだった。
そして何より、ヨンウンとのきれいな別れ方をするためには、私的な感情に捕らわれてはいけないのだ。
「俺は、ちゃんと暮らしてるよ」
ソンミンは涙を拭いて、落ち着いた声で言った。
「ちゃんと寝て、ご飯も食べて、笑って暮らしてるよ。ヨンウンはもう俺を殴らないんだ。
すごくよくしてくれるし、悪く言わない。ごめんね、シウォン。俺、今幸せなんだ」
実際は、まだそうなろうと努力している途中だが――。
するとシウォンは座り込んだまま、ソンミンを見上げ、鋭い声で言った。
「嘘つくなよ。あいつのそばにいて、おまえが幸せなわけないだろ」
ソンミンはシウォンの顔を見ることができず、自分の足元を見つめた。
「どうして? 理解できないよ。混乱して、頭の中が絡まって。
どうして俺を捨ててまで、ヨンウンのところにいくのか理解できない。
おれはただ、おまえを愛しながら、おまえと幸せに暮らしたいだけなのに……」
ソンミンは答えない。
「もしかしてヨンウンがまた友達たちを苦しめるんじゃないかって心配してるの?
だったらそんな心配いらないよ。俺はお前がいればいいんだ。それに怖いなら、逃げることもできる。
そうだ。あいつに見つからないところにふたりで逃げて隠れて暮らそう。いますぐにでも」
「……」
「どうして何も答えないんだ!」
この地獄のような4年間、自分とヨンウンの切れない縁のことは、シウォンには理解できないだろう。
ソンミンは思った。
シウォンは知らない。俺がシウォンに会うまでの三年間に、どれほどつらい時間を過ごしたか。
ヨンウンにどれだけ傷つけられ、ひどい扱いを受けてきたかひとつも知らない。
そんなシウォンには理解できないだろう。
シウォンが考えているほど、単純に終わらせられる問題ではないのだ。
だから俺はこんなに自分勝手でひどい手段を選んだんだ。
「俺には……耐えられないんだ。シウォンの隣にいることがつらいんだ」
「ソンミナ……」
「シウォンのそばにいるのは疲れるんだよ」
「……」
「同じように笑って、幸せでいられるのなら、俺はシウォンよりヨンウンのそばにいたい。これからはそうしたいんだ」
「……」
「だからどうか、俺を解放してくれ」
シウォンががっくりとうなだれた。
「じゃあね。もしまた会えたら会おう」
ソンミンは病室を出て、ドアを閉めた。その瞬間、病室からシウォンの大きな泣き声が聞こえてきた。
ソンミンは耳をふさいでトイレに行き、泣いた顔を水で洗った。
シウォンとの話が思ったより長引いて、ヨンウンの診察時間も過ぎてしまった。
ソンミンはヨンウンがいる2階に向かった。
ヨンウンは診察室の前のソファにいると思ったが、いなかった。
ソンミンはあちこちヨンウンを探しまわるが、どこにもいない。
そこに、ヨンウンが入院中に仲良くなったナースのお姉さんが来た。
「あ、お姉さん!」
ソンミンは声をかけた。
「あらソンミン、久し振りね」
「うん。ところでヨンウン知らない?」
「ヨンウンなら5階に行ったわよ」
「5階!?」
「あなたがどこにいるか知らないかとヨンウンに聞かれてね。
私、さっき、あなたがお母さんの病室に入っていくのを見たから
そう教えたら、ヨンウンはあなたのお母さんの病室に向かったわよ」
お母さんの病室にはシウォンがいる――。
ソンミンは急いで病室に引き返した。しかし、遅かった。
病室ではシウォンとヨンウンがケンカしていた。
誰のものかわからない血があちこち飛び散って、
ヨンウンがシウォンの胸倉をつかんでいた。
「やめて、ヨンウン、やめて」
止めるソンミン。
「おまえはどいてろ」
ヨンウンがソンミンを押しのけた。
そのとき今度はシウォンがヨンウンを押し倒して、シウォンのほうが有利に。
すると今度は「シウォン、やめて」
シウォンを止めるソンミン。
そうやってもんどりうっているうちに、ヨンウンがシウォンを押し倒した。
そのとき。何かものすごい音がして、はっとした。
見ると、お母さんの人工呼吸器の上にシウォンが倒れこんで、
人工呼吸器が壊れていたのだった。 ←ありえない!!
お母さんのお葬式。
お母さんの白黒の写真。
死んでいるように寝てばかりだったお母さんが、写真の中で笑っていた。
生きているときよりも、死んだあとになってこのように見るお母さんの顔のほうが
生き生きしているように思えて滑稽だった。
お母さんは、あんなふうに綺麗に笑うこともできる人だったんだな。
叔母さんはこの世の終わりが来たかのように泣いていた。
秘密を知るお母さんが死ねば誰よりも気が楽になるはずなのに、
どうして叔母さんはあんなにかなしそうに泣いているのか。
死ぬまで叔母を許すことはできないが、
しかしソンミンは、なんとなく叔母を理解できるような気がした。
人を好きになり、愛するということは、自分の思う通りには行かない。
愛してはいけないと頭ではわかっていても、心は言うことを聞かないのだ。
そんな恋を経験したソンミンには、叔母の不倫を少しだけ理解できる気がした。
一服しようと、ソンミンは式場を出た。
ずっと寝ていたお母さんのお葬式に来る人は少なかった。
一日葬でもよかったが、叔母さんが言い張って三日葬をした。
人があまり訪ねてこないから、ソンミンは自由にタバコを吸うこともできた。
ヨンウンがどれだけお金を使って処理したのかはわからないが、
お母さんの死は単なる医療事故として片付けられた。
ヨンウンは自分だけでは飽き足らず、ソンミンのお母さんの命までも奪った。
それなのにソンミンはヨンウンに対して、怒りも何も起こらなかった。
「何してるんだ」
誰かに肩を叩かれた。
ヒチョルだった。
「別に」
「ひどいやつだな。泣かないのか」
「病院で涙がかれるほど泣いたから」
ソンミンはヒチョルを見た。髪が少し短くなって、顔がやつれていた。
ソンミンは、ヒチョルが自分に言った言葉をふと思い出した。
ヒチョルは、殺したいほどおまえが嫌いだと言った。
「今でも俺を殺したいほど憎いか? 俺に目の前から永久に消えてほしいか?」
「ああ。俺はまだおまえはこの世で一番嫌いで、できれば俺の目の前からいなくなればいい」
「ひどいやつ……」
「でもそれは俺ひとりだけだ。だからもう家に戻ってこい。
もう俺はキム・ヨンウンのことはなんとも思ってないから帰ってこい」
確かにソンミンにはもう叔母さんの家以外に行く場所がなかった。
もうお母さんの病室はないし、ヨンウンの家にもシウォンの家にも行けない。
そのとき、クラスメイトの子たちがやってきた。
「俺達、もう帰るよ。俺たちがいても、もうできることもないし」
「ああ。ありがとう」
「シウォンも連れてこようと思ったんだけど、あいつ、ここ何日か引きこもりで」
「引きこもり?」
「電話も出ないんだ」
「そう」
「元気出せよ。お前にはすまないことばかりなのに、何もしてやれなくてごめんな」
「大丈夫」
「じゃあ、またな。あとで連絡するよ」
ソンミンはあのときのことを思い出した。お母さんの人工呼吸器が壊れたあのとき、
何もできずに固まっていたソンミンとヨンウンとは違って、
シウォンはすぐに医者を呼びに行き、ずっとソンミンの肩を抱いて、
「絶対に大丈夫だ」と繰り返しソンミンに囁き続けた。
そして病院での事件が収まると、シウォンは「ごめん」という最後の言葉を残して、
ソンミンの目の前から姿を消したのだった。
葬式が終わり、叔母さんが一緒に帰るように言ってきたが、
ソンミンは寄るところがあると言い訳して、叔母さんから逃げた。
そしてソンミンは自分に聞いた。
自分はどこに行き、誰を訪ねなければならないのか?
誰の胸に抱かれなければならないのか。
ソンミンは歩きだした。
ここらへん、恋愛シュミレーションゲームの最後みたいでしょ。
いったいソンミンがどっちを選ぶの? 全然わからない! どっちなの?
どうかカンインを選んでほしいとりんたろは切望したよ(笑)
歩き続けたソンミン。
「俺は本当にばかみたいだな」
ソンミンは、目の前にある高い建物を見上げた。それはヨンウンのマンションだった。
やったー!ソンミンはヨンウンを選んだ!! とりんたろ、ここで小躍り。
ソンミンはまるで操られるロボットのように自然にヨンウンのマンションに向かった。
もう自分は根っこまでヨンウンへの服従に染まっていた。
手なずけられて、飼育された自分はロボットだった。
ヨンウンが命令を入力して、ヨンウンが作動させて、ヨンウンが心のままに操る。
ソンミンはヨンウンの部屋のドアを開けた。
しかし、家の中には人のぬくもりが感じられなかった。
たった数日間の間なのに、長い間誰も足を踏み入れなかったかのように
家の中は冷え冷えとした憂鬱な気配を漂わせていた。
家の中にあったすべてのものがなくなり、大きなベッドだけがひっそり家の中を守っていた。
台所の棚にあった、ヨンウンがペアでそろえたグラスも、
洗面所にあった二人分の歯ブラシも、きちんと積んだタオルも、何もかもなくなっていた。
ソンミンはベッドに腰をおろして、あたりを見回した。
ふと、ごみ箱に何かが捨ててあるのを見つけた。
それは、べたべたにテープで張り付けた写真の入った、見慣れた写真立てだった。
ソンミンは直感的に、すべてはヨンウンが決心して起こした行動なのだと悟った。
しかしソンミンは、部屋を出られなかった。
もう何もないこの部屋は、人が生活できる家じゃないのに、
そんなこの部屋を未練なく出ることができなかった。
この家を捨てるなんて命令を、ヨンウンは入力してくれたことがなかった。
ベッドの上に座り、窓の外を眺めた。
やがて、日が落ちて夜が来た。
そのとき、玄関のドアが開く音が、静寂を壊した。
ふと玄関のほうに目をやった。誰かがよろけながら部屋に入ってきて、部屋に明かりをつけた。
ヨンウンがだった。ヨンウンは酔っ払っていて、よろけながらソンミンのほうに歩いてきた。
「どうしてお前がここにいるんだ?」
ヨンウンは理解できないというふうに聞いてきた。
「いったい……どうしてお前が? おまえはもうここに来てはいけないだろ」
「ヨンウン……」
「そんなふうにおれの名前を呼ぶな!」
ヨンウンはソンミンの胸倉をつかんだ。
「ばかじゃないのか。どうしておまえがお前の所にくる? おれはおまえの母親を殺したんだぞ!
おれが! おれがおまえの母親を殺した! それなのにどうして!」
「……」
「どうして来たんだ。どうしてここで俺を待っているんだ」
ヨンウンは崩れおちた。
「俺がおまえから全部奪った。お前を手に入れるために、おまえの周りのものを全部奪って、
ついにお前の母親まで奪ってしまった」
「……」
「おれはそんな自分が怖くてたまらない。こんなふうになりたいわけじゃなかったのに」
ヨンウンは涙を拭いた。
「それとも、まだ俺を愛してくるの? おれがお前を思っているくらい、おまえも俺を思ってくれるの?」
「ごめん……」
えーーーーー!!! ごめんなのぉぉっっ?
そこは違うでしょう。それでもヨンウンを愛するんでしょう。
じゃあなんでヨンウンの家に来たんだ、ばかソンミン! ←小説の中のソンミンに対してですよ(笑)
「ほら見ろ!! やっぱりお前には俺じゃだめなんじゃないか!
こんなに死ぬほどあがいても、俺じゃだめなんじゃないか!
何があっても関係ないと、最後におまえさえ残ればいいと、そう思っていたけど……
結局最後に残ったのはこんなに恐ろしい姿の自分しかいない」
ひざまずいていたヨンウンが立ち上がった。
酔ってよろけながら、ヨンウンはベッドの上に座っているソンミンを見下ろした。
「ソンミン、もう俺を解放してくれ。頼むよ」
「ヨンウン」
「明日、アメリカに行く。おまえから逃げるんだ。もう二度と韓国には戻ってこない」
「……」
「でも、もしかしてまた帰ってくるかもしれないから。そのときはどうか、俺が見つけられないところに逃げてくれ」
ヨンウンは平気そうな声で言っていたが、泣いているに違いなかった。
「二度と俺みたいなやつに捕まるな。二度と俺に捕まるな」
ヨンウンはソンミンに背を向けた。
「頼むよ。最後の頼みだから、聞いてくれるだろ?」
ソンミンはヨンウンの後ろ姿を見つめた。
ソンミンはすべてが終わったと思った。
もう自分には何も残っていなかった。
4年間、自分を苦しめたヨンウンも、
心をつくして愛し、傷を与えたシウォンも、
長い間眠っていたお母さんも、
あっという間に何もかもが蒸発して消え失せてしまった。
彼らがいなくても、自分は感情を感じることができるだろうか? 生きてることを実感することができるだろうか?
ヨンウンのマンションを出たソンミンは、叔母さんの家へと向かった。
ソンミンは、昔に帰ろうと決めた。
シウォンを愛する前。いや、ヨンウンに出会う前に帰ろうと決めた。
お金を使ってばかりの甥っ子として叔母さんの前に立とう。
憎たらしいヒチョルともケンカして、たまには殴られたりしよう。
それでも俺は笑いながら生きていかなくてはならない。
17歳の一年間で、いろんなことが起きた。
友人たちやシウォンに出会った。ヨンウンの本心を知り、
思いもしなかったヒチョルのヨンウンに対する気持ちにも衝撃を受けた。
二度と味わえない幸せと苦痛を17歳で経験した。
まるで無残な事件が相次いで起こる事故多発地域のように、
17歳の一年間は、絶え間なく険しいカーブを描いていた。
そして今、すべてが終わった俺は18歳になった。
17歳のときの、無残で楽しくて不幸で幸せだった思い出を笑って振り返るのも悪くない、
事故多発地域の終わりに立っていた。
もう忘れよう。消そう。泣くそう。
へたくそで、おさなくて、不安定で、はらはらした自分の17歳、事故多発地域を忘却しよう。
18歳らしく。
心が軽くなった。
自分の体を支配していたヨンウンを、心を支配していたシウォンを、人生を支配していお母さんを、
全部まとめて忘却しよう。
そして、叔母さんの家の近所についたとき――。
あるものが目に入り、ソンミンは足を止めた。
「どうしてこんなに遅くなったの? ずいぶん待ったんだぜ」
シウォンが叔母さんの家の前に立っていた。
そのまま。17歳のときと同じ姿で。家の前にバイクを停めて、ソンミンを待っていた。
「おれに連絡もしないで」
シウォンはソンミンに近づいて、17歳のあのときみたいにソンミンを叱った。
「電話してくれたら俺がバイクで迎えに行ったのに。今みんながお酒を飲んでるんだ。行くだろ?」
「シウォン……」
「それでお前を待っていたんだ。一緒に行こうと思って」
「シウォン……」
「一緒に……行かない?」
シウォンがヘルメット差し出しながら言った。
ヘルメットを受け取ってソンミンはシウォンを見た。
ソンミンは何かに操られるように、シウォンのバイクに近づいた。
「少し走っていこう。捕まって」
「うん」
バイクに乗りこんで、シウォンの腰に腕をまわした。うなるバイクの音が冷たい風のよう身体をえぐった。
ソンミンはまだ18歳の、終わらない事故多発地域の上を走っていた。
***
はい、というわけでこれでク(完)ですおー。
ヨンウン!! あんなにひどいやつだと思っていたヨンウンに同情したりんたろうです。
ぜひヨンウンを選んでほしかったのに、
結局姫ソンミンは王子シウォンの元に帰って行ったのでした。
やーどうでしたか? 長かったですね。
もうみんなボロボロでしたね。私もボロボロです。
こんな沈鬱な気持ちを鎮めるために、この写真を見て。

仲のいいヨンウンとシウォンの姿。暗い気持ちが明るくなったね。
ヨンウン、坊主で怖いけど(笑) シウォンは前髪おりててかわいいね。
ソンミンのお母さんはソンミンが子供のころから植物状態で入院している。
それは交通事故が原因だった。
そしてお母さんの入費、ソンミンの学費を出して、ソンミンの世話をしているのが
ソンミンのおばさん、ソンミンのお母さんの妹ね。
ちなみにそのおばさんの息子がヒチョルで、すごい嫌なやつ!
ソンミンのおばさんは、ソンミンのお父さんと不倫をしていて、
それを知ったソンミンのお母さんは怒ってソンミンのお父さんだかおばさんのところに行く途中に
交通事故に遭ったの。その負い目があるのかおばさんはソンミンの面倒を見てる。
で、ソンミンはそのことを知っているんだけど、おばさんはソンミンがそのことを知っていると気付いていない。
ソンミンはおばさんの家庭をいつでも壊すことができるけど、
でもそうしたら自分の生活や学費やおかあさんの入院費を払ってくれるひとがいなくなるから、
あえてそうしていないの。
っていう、なんか昼ドラみたいな設定なんだけどね。
で、ソンミンはお母さんの病院に行くと見せかけて?
居酒屋に行って、仲間と一緒にお酒を飲む。
で、この席になぜかカンインがキム・ヨンウンがいます。なぜいるかは知らん。
キム・ヨンウンは中学校三年間、ソンミンをいじめていた男。
ソンミンは友達も彼女もキム・ヨンウンにめちゃくちゃにされた。
そんなやつとなんで一緒にお酒飲んでるのか、よくわからないんだけど。
とにかく今は中学を卒業して高校生になり、
キム・ヨンウンと離れて、やっと自由になり、
チェ・シウォンっていう素敵な友達ができたのね。
チェ・シウォンはお金も持ってて、ケンカも強くて、頼りがいがあって、
一緒にいれば高校三年間は安心だなあっていう感じの男。
ソンミンはヨンウンの顔なんかみたくもないけど、バックにシウォンがいるから心強くて、
中学生の時とは違うんだぞ。成長したんだぞっていう気持ちでいる。
で、ソンミンはこんなふうに
お母さんのところにいくとき、おばさんがくれる交通費を
いつもお酒代にして、お酒を飲んで、
病院へはシウォンのバイクで送ってもらったりしてるの。
このときも途中でシウォンに呼ばれて、
ビリヤードをしているシウォンのところにいく。
チェ・シウォンは友達ウニョクと一緒にビリヤードをしていて、
ヒョクチェはいつも一緒にいるソンミンとシウォンに
「本当に付き合ってんじゃないのか?」って冷やかす。
それが本当にソンミンはいやで、そんなソンミンをシウォンがなだめて、
店を出たふたりは、バイクでソンミンのお母さんの病院へいき、
ソンミンはそのままお母さんの病室に泊まる。
朝になって、シウォンがくれたお金でソンミンはタクシーに乗って家に帰る。
するともう遅刻だよね。
学校へは毎日、おじさんがヒチョルとソンミンを車で送ってくれるんだけど、
ソンミンはおじさんの車に間に合わなくて、歩いていくことに…。
歩いて2時間。途中で授業に参加するのは心苦しいので、
ソンミンはお昼休みまで待ってから教室に行くと、
シウォンが心配していてねえ。
「今度から歩いてくることになったらおれに電話しろよ。迎えにいくから!」
とか言うの。やさしいシウォン。
そして朝を食べていないソンミンにお昼をおごってくれる。お金持ちシウォン。
その日、放課後、突然ウニョクから電話が。
「一緒に遊びに行こう」
で、言ってみると、キム・ヨンウンがいるのね。
三人でお酒飲んでキム・ヨンウンがやけに優しいので不信感を覚えるソンミン。
ウニョクはお酒弱くて酔いつぶれ、ソンミンはシウォンを呼んでウニョクを運んでもらう。
そこにキム・ヨンウンが「あいつがシウォンか…」とか言って怒るの。
「おまえ、どういうことだよ。俺とは三年間一緒にいて、あいつとは数か月なのに、どうして!!」
みたいな。
もうあれだよね。ヨンウンはソンミンが好きなんだよね。
ヨンウンはソンミンが好きでいじめてたのに、
それがソンミンにとっては暗黒の三年間だった。
ソンミンはうすのろ鈍感なやつなので、「何が?」みたいな。
もーー!! 鈍感すぎる!!
そして
「おまえ、本当にシウォンと付き合ってるのか?」
って。
で、ヨンウンはそのあと、優しくソンミンを家まで送ってくれる。
そこに家の前で偶然会ったのがヒチョル。
「なんでヨンウンと一緒にいるんだよ!」って怒る。
どうやらヒチョルはヨンウンが好きらしい…(笑)
でもソンミンは超鈍感なので、「なんで怒ってるの?」ってわかってないのね。
その次の日から、ソンミンは
キム・ヨンウンの
「おまえ、本当にシウォンと付き合ってるのか?」
という言葉が気になって仕方なくて、
ついにシウォンに確認する。
「俺達、どういう仲なの?」的な。
や、ばかなソンミンだからもっと回りくどいんだけど。
するとシウォンがソンミンにキスおーーー!!!
学生の分際で!!!
でもソンミンはこれまたバカだから、
ああ、僕たちはキスできるほど仲がいいってことなのかな?
どあほう。
するとシウォンが
「おまえ、今度から俺とキスする前はタバコ吸うなよ。苦いじゃないか。俺も気をつけるよ」
え!! 僕たち今度からキスする仲なの!?
やっぱり付き合ってるの、ぼくたち!!
って。
やっとわかったソンミン。
でもソンミンは別にシウォンが好きなわけじゃないし、ゲイっていうわけじゃないことを自覚している。
けど、シウォンに依存しきっているから、やっぱりシウォンのこと好きなのか?
よくわからない。
ふたりはそれからキスばかりして(キスだけで済むのか疑問)過ごしてるんだけど、
一方、キム・ヨンウンは毎日ソンミンに連絡してくる。
しつこいからか? キム・ヨンウンと飲みに行く。
キム・ヨンウンがなぜ自分を誘うのか、ソンミンにはわからない。←にぶちん。
もうじれったいし、意味もわからず誘ってくるくるのは嫌なの。
「俺はおまえの顔なんか見たくないし、こんなふうに俺につきまとうくらいなら、
中学校の時のようにいっそ、おれのことを殴ればいいじゃないか。
中学校の時に俺の友達や恋人を奪ったときのように、おまえの好きなようにやればいいじゃないか。
こんなまわりくどいことするなよ」
とソンミンはカンインに言ってしまう。
するとヨンウンが「本当におれの好きなようにしていいのか?」って
どうなっちゃうのー!?
と思いきや、
ソンミンがふと考え付く。カンインが自分に手を出せないような一言。
酔っていた勢いで言ってしまう。
「でも、本当におまえの好きなようにできるかな?」
「どういう意味だ?」
「おまえにおれの恋人が奪えるか? 実は俺、ゲイなんだぜ」
っていっちゃうソンミン。
「俺、シウォンとつきあってるんだ。おれの恋人を奪うか?」
するとヨンウンは喜ぶ。
「ありがとう、ソンミン」を連発するヨンウン。
ソンミンには意味がわからない。
次の日、ウニョクが「一緒に遊ぼう」と言ってくる。
「いいよ」
「キム・ヨンウンも一緒だよ」
「えーーやだ、じゃあ行かない」
断る。
で、その日ソンミンはシウォンとカラオケに行くけど、ずっとキスばっかりしてるから歌わない。 ←謎(笑)
そのときメールが!!
ウニョクからだ。
「おまえが今すぐにこないと、キム・ヨンウンがおまえの秘密をばらすってさ」
っていうメール。
ソンミンは、自分をいじめていたヨンウンとシウォンを合わせたくないから、
お母さんの病院で緊急事態があったから行ってくるとシウォンに嘘をついて、
ヨンウンとウニョクのところへ向う。
ふたりはお酒を飲んでいて、ソンミンも仕方なくお酒を飲み、
場の雰囲気は和やかだったんだけど、
酔っ払ったウニョクがソンミンに「おまえ、本当にシウォンの彼女だな」って連発すると、
ヨンウンが怒り狂い「ソンミンがシウォンの彼女だと?」と、
ウニョクをボコボコにする!!!
ソンミンはどうしていいかわからず、いつもならシウォンを呼ぶんだけど、
今日はシウォンに「病院に行く」と嘘をついてきたから呼ぶこともできない。
そこでウニョクの携帯電話に入っていたドンヘを呼ぶ。
ドンヘは今学校の近くで友達と遊んでいたので、「早く来て」と頼む。
が、
なんとやってきたのはチェ・シウォンだった…。
「どうしてシウォンがここに?」
「ドンヘと一緒に遊んでいた友達はおれだよ」
あーーー。ソンミン、頭わりぃーーーーーー。ざんねーーーーん。
シウォンはすごい怒っていて、
「俺についてくるな。じっとしてろ。俺がいなくなるまでおまえの出す音も聞きたくない」と。
すごい怒ってるシウォン。
ヨンウンは笑ってソンミンを送ってくれる。そしてまたヒチョルにつっかかられる。
ヒチョルは嫉妬してますお。
ソンミンは次の日、登校拒否します。シウォンには会えないから。
でもシウォンからの連絡を待ってる。
登校が遅いと、いつもは電話してくるのに今日はしてくれない。
ああ、怒ってるんだ。
ソンミンはならない携帯電話を握りしめて、ベッドでごろごろしてる。
と、12時ちょっと過ぎにシウォンから電話が。
「今、どこにいる?」
「家…」
「じゃあちょっと用意して、出て来い。今、おまえの家の前だ。ウニョクが入院したから行こう」
窓をあけると、バイクのところでタバコをすってるシウォンが。
シウォンはソンミンを許した。もううそつくなよ、といって。
ソンミンは幸せな気分だ。
で、ウニョクの病室に行くとぉぉぉ!
そこになぜかキム・ヨンウンが。
キム・ヨンウンとウニョクがいっしょに仲良さそうにリンゴを食べている。意味不明。
友達にひどくされるのが大嫌いなシウォンが
キム・ヨンウンに喧嘩を売るが、ソンミンが止めて、シウォンを病室の外に連れ出す。
その後、ソンミンとシウォンは仲良くて、授業中にキスしてたんですよ。 ←この辺、謎すぎる。
ジャンバーを頭からかぶってふたりで隠れてキスして、
先生に「何やってるんだ」って怒られて、ふたりで寝たフリしたりするの。
で、廊下に立たされたのはソンミンだけ。
ふたりで一緒に廊下に立たせたら、またふたりでなにをしでかすかわからないから先生が賢い。
廊下に立たされたソンミンはタバコを吸いたくなって、学校内の秘密の喫煙所に行く。
シウォンが見つけた先生に見つからない場所。
でも、そこでソンミンが見たのはキム・ヨンウン。
学生主任の先生と何やら話している、他校の制服を着たキム・ヨンウン。
なんとキム・ヨンウンが数日後に転校してくるという。
なーーーんてことだ。どういうことだ。ソンミン混乱。
そしてその日の夜かな?
シウォンが用事があると言って、ソンミンを送った後どこかに行ってしまう。
いつもシウォンと一緒にいるソンミンは、シウォンがいないとやることがなくて暇。
で、夜遅く、シウォンがね、ソンミンの家に来るのね。
そのシウォンは傷だらけだったよ。ケンカに負けたことのないシウォンが傷だらけで。
「おまえの顔を見に来たんだ」と。
ソンミンはシウォンがいなくなってしまう気がして、明日学校で会おうと約束する。
けれどその日からシウォンは学校に来なくなってしまった。
その代り、転校してきたのがキム・ヨンウン。
ヨンウンはシウォンの席に座り、学校の生徒たちを手下にしていく。キム・ヨンウン王国を作っていく。
優しいシウォンにあんなに世話になっていた生徒たちが、
まるでシウォンなんていなくなったかのように、
みんなヨンウンの手下になって、ソンミンだけがシウォンを心配して、
ソンミンはそんなクラスメートたちに苛立っていくんだけど。
ソンミンはあるときヒョクチェを問い詰めて、シウォンを消したのがヨンウンだと知るのです。
シウォンにはケンカの強い先輩がいて、その先輩がケンカ相手をぼこぼこにしちゃったのね。
もうそうしたら先輩は少年院に入ることにもなるんだけど、
でも示談金を払ったら許してやるという話になった。
示談金はものすごい高額で払えるわけもない。
しかしその示談金を払ってやるというやつが現れた。
条件付きで。その条件はチェ・シウォンがひざまづいて頼むこと。
そしてその条件付きで示談金を払ってやるといったのが、キム・ヨンウンだった。
うん。
チェ・シウォンはいやいやひざまづいて、先輩たちとも仲たがいして、キム・ヨンウンに負けた。
そういうのがあって、チェ・シウォンはプライドを傷ついて?
よくわからないけど姿を隠していたのさ。
それを知ったソンミンがヨンウンのところに行くと、
ヨンウンは言ったね。
「おまえからチェ・シウォンを奪うことはできないから倒してやったのさ。
お前の周りにあるものは全部消さなければならない。
そうしないと俺が見えないだろう?」
って。
「俺だけを見ろ」的な発言を。
そしてばかなソンミンが気づく。
ヨンウンは僕のことが好きだったのか――!
だからヨンウンは中学生の時僕から恋人を奪ったのか。
「ソンミンはシウォンの彼女だ」とばかにしたヒョクチェをぼこぼこにしたのか。
僕がゲイだといったとき、喜んでいたのか。
全部納得がいく!!!
って気づくの。
すげえ、遅いよぉ、ソンミン……にぶすぎるよぉぉぉぉ。みんな知ってたよぉ、それ。
で、それからソンミンはヨンウンが怖いし、シウォンはいないし、全然つまらない学校。
でもねえ、シウォンが来るんだよねえ、学校に。
シウォンが来るんだよねえ。そしてふたりは自分たちだけだと確信した。
ふたりでいれば何も怖くないよね。クラスメイトがみんなヨンウンの側についていてもね。
ふたりでいれば怖くないね。
ある日のこと。
ソンミンが家でシウォンと電話してるところをヒチョルに聞かれて、
ヒチョルは「おまえ、今誰と電話してたんだ? ヨンウンだろ!」
ってソンミンの携帯をとりあげる。
そしてヒチョルは「シウォンだったのか」と知って、怒る。
で、ケンカになって、
ヒチョルがソンミンのお母さんをばかにしたので
ソンミンは頭にきて、「誰のせいでこんなことになったと思ってるんだ。おまえの母親のせいだろう」と
言ってしまい、もうひどい騒ぎになって、
ソンミンは家でしました。
で、ひと晩はお母さんの病室に泊まり、次の日は普通に学校に行きました。
シウォンには家出したことは内緒にしていました。
シウォンに言ったら、無理にでも家に帰れというから。
それでソンミンは普通どおりに過ごしていたけれど、帰り道、シウォンが「家まで送るよ」って。
「いや、今日はお母さんの病院に行く」
「だめだ。もう遅いからまっすぐ家に帰れ」
「遅くないよ。この時間にお母さんの病院にいくことは今までだってよくあっただろう」
「でもお前、病院に行ったらそのまま家に帰らないつもりだろう?」
って。
実はシウォンは、昨日ヒチョルから電話をもらっていて、ソンミンが家出したことを知っていた。
「おまえが自分から話してくれると思って、黙っていたんだよ。なんで話してくれなかったんだ」
「だって話したら無理にでも家に連れ戻そうとするでしょ?」
「おれがそんなことするはずないだろ」
「本当?」
「でも病院は寒いだろう」
「仕方ないよ」
「じゃあ、いいところに連れていってやる」
「どこ?」
「病院よりも暖かいところだよ」
ってここらへんのセリフでもう私はにやにやしっぱなし。
そしてソンミンはバイクの後ろに乗って、シウォンにぎゅっとつかまっているときに
「暖かいところってのはシウォンの背中かもしれないなあ」って思うの。
あははははは。照れるー。かわいー。
連れて行ってくれた場所は、とても小さいぼろい部屋だった。
それはなんとシウォンの家だった。
シウォンは両親もいなくて、一人暮らしをしていたの。
お金も服も時計もいっぱい持っていて、バイクも何度か変わって?
ソンミンにタバコやごはんを買ってくれたシウォンがこの狭い家に?
ソンミンはびっくりした。
「そういう顔をすると思って、今までずっと黙っていたんだよ」ってシウォンが言った。
「だけど、おまえに隠し事してほしくないから、おれも隠すのはやめようと思って連れてきたんだ」
って。
「だから俺を後悔させないでくれ。こんなふうに見せたこと、後悔させないで」
私この辺でもうなんかちょっと泣いてた(笑)
「おまえがよければ、ここにいていいよ」と。
そしてふたりは一緒に暮らしだしました。
携帯電話の電源を切り、学校にも行かないで、ふたりで遅くに起きて、一緒にラーメン食べて。
シウォンの腕枕で寝るソンミン。羨ましい(笑)
で、何日かしてソンミンはおかあさんの病院に行くんですな。ひとりで。
病室に置いてきた着替えを取りに行きたかったし。
するとおかあさんのベッドの横に誰かがいた。
それはキム・ヒチョルだった!!! しかも傷だらけだった。
ヒチョルはずっとソンミンを探していて、病室でずっと待っていたらしい。
キム・ヒチョルはキム・ヨンウンの気持ちがソンミンに気持ちが向いているのに嫉妬して
盗み聞きしたソンミンとシウォンの電話のことをヨンウンに告げ口した。
そしたらヨンウンががっかりして、ソンミンのことを嫌いになると思ったから。
でも違った。ヨンウンはヒチョルを殴った。
ヒチョルはとても傷を受けた。ずっとずっと言えずに好きだった人に傷つけられて。
ヒチョルはソンミンが本当に嫌いだと言った。
こうやってソンミンは自分のせいで周りのひとが少しずつ傷ついていっているのを感じていた。
人気者だったシウォンはソンミンのせいでのけものになり、
ヒチョルはヨンウンに傷つけられ、
クラスメイトのドンヘやヒチョルもヨンウンの気まぐれでぼこぼこにされた。
そういえば前にドンヘが、
またもとのようにシウォンと仲良くしたいといってソンミンに相談をしてきたことがあった。
それをヨンウンに言ったら、ソンミンが謝れば許してやるって。
それでドンヘがソンミンにお願いしに来たんだけど、ソンミンはそれを断っていた。
で、ソンミンはキム・ヨンウンに連絡を取る決心をした。
朝、電話の電源を入れて、
おばさん、キム・ヒチョル、ドンヘ、ウニョクの着信のほかにあった。
キム・ヨンウンの着信履歴。
電話をするとヨンウンは怒った声で「学校に来い!」
「わかった行くよ」
そしてソンミンとシウォンは学校に行く。
と! クラスに人が集まっていた。
なんと、イ・ドンヘがキム・ヨンウンにぼこぼこにされていた。
たまらず飛び出すシウォン。
「おまえたち、友達がやられているのにどうしてただ見てるんだ? ばかじゃないのか!」
そしてドンヘを助けるシウォン。
するとクラスメイトたちもドンヘの周りに集まり始める。
それを見てヨンウンは笑っていた。
「チェ・シウォン。おまえにチャンスをやる。選べ。こいつら友達みんなか、ソンミンかどちらかを選べ」
クラスメイトの目がシウォンに懇願していた。
頼むよ、シウォン。俺たち、友達だろ? 助けてくれよ。
シウォンは選べずにうつむいた。そんなのがソンミンには耐えられなかった。
「もうやめろよ。こんなくだらないこと。わかった。俺がもうシウォンと一緒にいるのはやめるよ」
「ほら、結局こうなるんだよ」とキム・ヨンウン。
「行くぞ」とヨンウンがソンミンの手を掴んだ。
人が別れてふたりの通り道を作り、ソンミンはヨンウンに連れられて学校を出た。
校門の前には黒い車。それはソンミンがすごく見慣れた車だった――。
ヨンウンの車に乗せられたソンミン。
するとそのとき、「ソンミン!!」
呼ぶ声がしてソンミンが窓の外を見ると、必死に走ってくるシウォンが見えた。
それと同時にヨンウンが「出せ」
走り出す車。校門を出て、シウォンの姿は見えなくなった。
「すぐに全てを忘れられないかもしれないけれど、いつかは忘れられるさ」
ヨンウンが言った。
車はソンミンの知らない道を走り、
ついた先は学校からそう遠くないところにあるマンションだった。
そこはヨンウンがひとりで暮らすワンルームマンション。
ヨンウンの部屋には、ヨンウンによく似合う大きいサイズのベッドとテーブル
それくらいしかなかった。
ヨンウンはさっき殴っていたドンヘの血がついた制服を脱ぎ、
シャワーを浴びにいった。
その間にソンミンはかばんを投げ出し、大きなベッドに寝転がった。
今なら逃げられるのに、ソンミンはそんな力もなかった。
そのとき、ふと枕もとにある写真立てが目に入った。
それを見てソンミンは絶句した。
そこには中学校の制服を着て笑っているヨンウンと
無理やり腕を回されレンズを睨みつけるソンミンが映っていた。
ヨンウンにいじめられていた地獄のような日々の写真を
ヨンウンが飾っていると思うとソンミンは頭にきて、写真立てを壁に投げつけた。
そして写真をびりびりに破いてしまった。
「何してるんだ!」
シャワーを浴びて出てきたヨンウン。
ヨンウンが殴ると思った。しかしヨンウンはひざまづいて、破れた写真を拾い集め出した。
そんな姿が信じられないソンミン。
シウォンをひざまづかせたヨンウンが、今自分の目の前でひざまづいているのが信じられない。
「何してるんだ、キム・ヨンウン」
するとヨンウンは言った。
「おまえは知らないだろう。俺を慰めてくれたのはこの写真だけだったんだ。
おまえが俺から逃げてシウォンと一緒に暮らしている間も、
この写真の中のおまえだけは俺に笑いかけてくれた」 ←勘違い。
笑ってんじゃねえよ、にらんでんだよ。
「それなのにどうしておまえは大切な写真を!!」
ヨンウンはソンミンをベッドに押し倒し、ソンミンの首を絞めた。
「おまえはひとりだけつらかったような顔をしているが、おれだってつらかったんだ!」的な。
そして首を絞める手が緩んだとき、ソンミンははっとした。
ヨンウンが泣いてた。
そしてヨンウンが部屋を出て行ってから、ソンミンはひとりでゴロゴロしていたけれど
空がだんだん暗くなってきてヨンウンも帰ってこないし、
お母さんの病院にでも行こうと思い、かばんを持って部屋を出た。
エレベーターで一階まで下りた時、マンションの前にヨンウンがいるのに気づいた。
ずっとそこにいたのか? ヨンウンはタバコを吸っていた。
ソンミンはそれを無視して出て行こうとしたとき。
「いくな」
ヨンウンが言った。
「どうせ帰る家もないんだろ。全部知ってる」
ソンミンの足が止まった。
「うまくやるよ。やさしくするよ。怒らないし殴らないからどうか行かないでくれ」
あの天下のヨンウンが自分に懇願する姿を見て、ソンミンは同情心がわき、ヨンウンの部屋に戻る。
ヨンウンはソンミンに気を使って、夜寝るときは別々で寝た。
ヨンウンが床出てて、ソンミンに大きなベッドを譲った。
でもソンミンは寝られなくて、ヨンウンが眠ってからそっと携帯電話を手にした。
ずっと電池を抜いていた携帯電話のスイッチを入れると、着信履歴とメールが。
シウォンからのメールがたくさん来ていた。
【ソンミン どこだ? 電話を取ってくれ】
【どうして携帯電話を切ってるんだ。どこだ。なにかあったんじゃないよな】
「キムヨンウンと一緒にどこかに行ったのか教えてくれ。俺が迎えに行くから】
【ソンミナ、おまえはどうしてこんなふうに電話を受けてくれないんだ】
【おまえと連絡できるまで、電話とメールするよ。ソンミナ。メールを見たら連絡してくれ】
【どうか電話してくれ。メール返信でもいい】
全部シウォンだ。
【ソンミナ…愛してるよ】
↑ああ、切ない。
それを見た瞬間、ソンミンは携帯電話を落とし、わんわん泣きだした。
するとそのとき、
「もしもし? ソンミナ? ソンミナ?」
声がした。携帯を落とした瞬間に、シウォンと電話がつながってしまったのだった。
「答えてくれ、ソンミナ。どこにいるんだ? お母さんの病室にもいなくて、おばさんの家にもいなくて、
どこにいるんだ? キムヨンウンと一緒なのか? 答えてくれソンミナ」
でも泣くしかないソンミン。
「すぐに迎えに行くから教えてくれ。おまえを探すために俺はまだ外にいるんだ。
だからすぐに迎えに行けるから、泣いてないで答えてくれ。
会いたくて死にそうだよ。ソンミナ。俺がおまえに会わないなんて
一日も耐えられなくて狂いそうだよ。おまえは俺を殺したいの? 狂わせたいの?」」
ソンミンも会いたくて死にそうだったが、ソンミンはもう決意していた。
「おまえは友達たちのことを心配してキムヨンウンのところに行ったの?
それなら関係ない。俺はおまえがいればそれでいいんだ」
とシウォンが言ったが、そうではないとソンミンは思っていた。
かっこいいシウォンには、シウォンにかっこいい翼をくれるあの友人たちが必要なのだ。
友人たちに無視されるシウォンではなく、友人たちが多くて頼られるシウォンじゃなければならない。
「切るよ」
ソンミンはそれだけ言って電話を切った。
そしてソンミンが部屋に戻ると、
「チェ・シウォンか?」
怖い顔をしたキム・ヨンウンがソンミンをにらんでいた。
怒りだすヨンウン。ソンミンは「違う」と言った。
「嘘つけ。シウォンだろ。答えろ」
「違う」
するともうヨンウンが怒り出した。優しくする、怒らない、殴らないと言ったヨンウンが。
「おまえは最初からそういうつもりだったんだな。俺になびいた振りをして、
隠れてシウォンに連絡をとっていたんだな!!」
ソンミンにはそんなつもりはなかった。
だますつもりはなかったし、シウォンのことは忘れて本当にヨンウンといるつもりだった。
「どうして俺はばかだったんだ。携帯電話があればいつでも連絡をとれることに気付かなかったなんて」
そしてヨンウンはソンミンの携帯電話をベランダから投げ捨ててしまった。
ソンミンの唯一の外につながる方法がなくなってしまった。
「優しくしようと努力してもこんな結果になってしまうのなら、
おれにはもっとひどいやり方だってできるんだぞ」
そして怒り狂ったヨンウンはソンミンを襲ってしまうんですよー…。
洗面所に逃げて、台所に逃げて、ナイフまで取り出して自分を殺そうとしたけれど、
「おまえが俺のものになるまで、おまえは死んではいけない」とヨンウンが言って。
かわいそうなソンミン。逃げようとしたけれど…。
りんたろも心の中で「逃げてー!!!」と「シウォン助けにきてーー!!」と
願ったけど、ソンミンはヨンウンに犯されてしまいました。
もうその間際にシウォンがソンミンの頭に浮かんできてね、
「だめだろう、ソンミナ。俺とだってそんなことしてないのに、キム・ヨンウンとなんてだめだろう」
って聞こえてくるの。
あーーーーーーかわいそう。本当ひどい。ばか。キム・ヨンウンのばか。
結局こうだよ。いつもソンミンは犯されるんですよ…(笑)
本当…痛そうでした(爆) そりゃ痛いよ。
でも次の日、ヨンウンはソンミンをお風呂に入れてあげて、
傷ついたところに薬を塗ってソンミンをいたわり、
ソンミンに謝ったのでした。
「おまえにだまされたと思って、かっとなってしまって、ごめんね」
ヨンウンはいきなり怒ったり、やさしくなったりソンミンを混乱させるばかり。
そうやって学校に行かないうちに期末考査も終わり、
学校は冬休みになってしまいました。
ソンミンはヨンウンのくれるごはんを食べて、タバコを吸って、マンガを読んでテレビを見て過ごし、
ヨンウンの思い通りに飼いならされて、ペットのように人形のように暮らしました。
ヨンウンは叔母さんが心配するんじゃないかと連絡もして。
そしてヨンウンはときどきシウォンの噂を教えてくれた。
最初はあそこで事故を起こしたとかこいつを殴ったとかいう噂だったが、
そのうちシウォンは女子高生とつきあってるらしいという噂に変わり、
ソンミンはそれを聞き流していた。
シウォンにはすべてが最高でなければならない。恋人も。
スリムで髪の長い綺麗な女がシウォンに似合うと思いながら、
ソンミンは自分の中のシウォンへの気持ちを無理やり殺していった。
そして新学期が始まった。ソンミンとヨンウンは別のクラスだった。
ヨンウンは「他の友達と話すな。休み時間は絶対におれに会いに来い」とソンミンに命令した。
ソンミンは休み時間、ヨンウンのところに行く。
するとヒョクチェが「あーーソンミン、おまえどこに行ってたんだよー!!」って話しかけてきて、
それをみたヨンウンが怒り、
「ソンミン、おまえ他のやつと口を聞くなと命令しただろう!!」って
ソンミンの髪をつかんでひきずっていき、ソンミンがいつも隠れてタバコを吸っていた
誰にも見つからないところにつれていき、ソンミンを殴る。
「ごめん、ヨンウン。俺の話をちょっと聞いて」
でもヨンウンは聞かない。ソンミンを殴る。
するとそこにシウォンが!!!
「もう我慢できない。おまえなんて死んでしまえ!」
と、シウォンはヨンウンをぼっこぼこにした。もう本当ぼっこぼこぼこぼこにした。
その夜、シウォンはヨンウンに見つからないように旅館(?)の部屋をとって、ソンミンをつれて
友人たちとみんなでお酒を飲んだ。
またこうして会えると思わなかったよーってみんなで楽しく。
そしてみんな酔っ払って、帰った後、散らかった部屋を片付けるシウォン。
ソンミンはちらっとシウォンの携帯電話を見た。
ヨンウンが言っていた「最近彼女ができたらしい」という噂が気になって、
ソンミンはシウォンの携帯電話のスライドを開けて、着信履歴を見た。
そこにあったのはぎっしりソンミンの名前だった。
シウォンはソンミンがいなくなった日から一日も欠かさずソンミンに電話していたのだった。
携帯を落とし、ソンミンは泣きだした。
「どこか痛いの?」
シウォンが心配して駆け寄った。
「シウォナ」
シウォンの名前を呼び続けるソンミン。そして
「シウォン、抱いて」
するとシウォンはソンミンをぎゅっと抱きしめた。
「そうじゃなくて、寝よう」 ←ソンミン、積極的。
「いいの?」 ←シウォン、びっくり。
そしてふたりはいい感じになるんだけど、
突然、シウォンが泣きだした。
「どうしてこんなに幸せな瞬間なのに、おれは悲しくなるんだろう?」
シウォンは、傷だらけのソンミンの身体を見て泣いていたのだった。
「おれが守ってやらなきゃならなかったのに…つらかっただろう…痛かっただろう…ごめん」
そうして泣いているシウォンの声がソンミンが嫌で、それが夢であればいいと思った。
早く起きろとヨンウンが手をつかんで立たせてくれるほうがよっぽどいいと思った。
怖いヨンウンよりも、ソンミンは、シウォンが泣いていることのほうが嫌だった。
それからソンミンはずっと旅館にいた。シウォンはソンミンをひとりにさせなかった。
自分が離れないといけないときは、仲間を呼んで見張らせた。
だいたいはヒョクチェが来て、ソンミンと一緒にいたけれど
あるときドンヘが来た。
ドンヘは「あのときおまえがヨンウンのところに行くといったのは、おれがお願いしたから?」
って聞いてきた。ソンミンは答えられなかった。
ソンミンは長いこと、ドンヘが助けてくれという目でソンミンを見ていたのを無視していたから。
するとドンヘは
「ごめん、こんなこともう聞かないよ。それより少し外へ行こう。おまえ、長いこと外に出てないんだろ? つまらないだろ?」
ソンミンは確かにつまらないし、外に出たいと思ってドンヘについていった。
どこに行くのだろうと思っていたけれど、そのうちソンミンは、
ドンヘがソンミンのおかあさんの病院に向かっているのだと気付いた。
「ドンヘ、もしかしておかあさんの病院へ?」
「たまに外に出れたときくらい、おかあさんの顔を見たいだろ?」
ソンミンは感動した。しかし、おかあさんの病室は5階なのに、ドンヘがエレベータを3階で止めた。
「ちょっとドンヘ、おかあさんの病室は5階だよ」
「知ってるよ」
ドンヘが足を止めた場所は――。
キム・ヨンウンの病室の前だった。キム・ヨンウンの名前がかかれたネームプレートが光っていた。
「ソンミン、おまえには本当にすまないと思うけど、もう一度だけ俺の頼みをきいてくれないか」
こいつ、このやろう。ドンヘがまた残酷なことを言う!!
「おまえが戻ってきてから、おれたちは少しずつキム・ヨンウンにやられてる。
おまえには本当に悪いと思うけど、おまえがヨンウンのところにいれば、
おれたちはみんな幸せに前みたいに暮らせるんだ。おまえひとりがいなければ」
重いよぉ、このテーマ重いよぉ。ちょっとイジメ問題入ってるよぉ。
ドンヘはソンミンをキム・ヨンウンの病室の前に残し、行ってしまった。
ソンミンはそのままヨンウンの病室に入ることはできず、お母さんの病室に行った。
そして泣いた。
「お母さん、僕は小さいときにお母さんをなくして、お父さんもいなくて
おばさんの家で過ごして、キム・ヒチョルにいじめられて、ちゃんとやってきたでしょう。
3年間、ヨンウンにいじめられるのにも耐えてきたのに、
そんな僕が、どうして幸せになってはいけないの?」
ソンミンは今までのことを思い出していた。
苦しかった中学校の自分と
高校に入ってシウォンに会って幸せだった自分。
そして今の自分はまた中学校の自分に後戻りだった。
離れようとすると余計に引き合うソンミンとヨンウンの悪循環。
そうだった。いつもそうだったな。
ヨンウンが作った安定的な枠の中にいるのは俺だけじゃなきゃならなかったのに
だからヨンウンは耐えられなかったんだな。俺の隣に他人がいることに耐えられなくて奪ってきた。
もしも俺がヨンウンを怖がらなければ、逃げなければ、
最初からこんなふう悪循環にはなっていなかった。
今、この悪循環を断ち切るには――。
と、謎の悟りをひらいてソンミンが向かった先はキム・ヨンウンの病室。
病室で背中を丸めてヨンウンは寝ていた。
「おまえ、何してるんだよ、キム・ヨンウン、寝てるのか?」
何も言わないヨンウン。ヨンウンは泣いてた。
シウォンにぼこぼこにされてソンミンを奪われ、
足も折れて、プライドをずたずたにされて泣いていた。
ソンミンは決心した。
ヨンウンとの悪循環のシナリオを断ち切るには、逃げようとするだけじゃだめだ。
本当にふたりが離れるには、今までのことをすべて忘れてヨンウンと向き合う。
すべて忘れて、自分をいじめるヨンウンを忘れて、大好きなシウォンを忘れて、友達たちのことも忘れて、
自分を愛しているヨンウンを、自分でなければだめなヨンウンを
ソンミンは受け入れることにした。 ←すげえ。
「よく聞け」
泣いてるヨンウンにソンミンは言った。
「俺は全部忘れる。今までおまえが俺にしてきた全部のことを忘れる。
だからお前も全部忘れて。俺が愛した人のこと全部忘れて。考えるな」
ヨンウンが泣きやんで、体を起こした。
「俺はお前だけ見るから。お前も俺だけを見て。他の人のことは考えないで。俺達そうしよう」
「ソンミナ?」
「辛かったときのことは全部なかったことにして、普通に出会ったかのように、他の恋人たちのように、
笑って、ケンカして、泣いて、仲直りして、そうやって他の恋人たちと同じように別れよう。
そんなふうに俺たちは別れよう」
難しいね。このあたり。
たくさんの恋人たちが別れるように、自分たちも付き合って別れようとソンミンが言ったんですな。
ヨンウンが喜ぶような、悲しむような声で
「おまえ、本気でそんなことができるの?」
ソンミンは返事の代わりに、ヨンウンの手の上に自分の手を重ねた。
「うまくやるよ。本当に。誓うよ。おまえが別れたいって思わないように、絶対にケンカもしないで優しくするよ」
ヨンウンはソンミンを抱きしめた。
シウォンにぼこぼこにされたキム・ヨンウンは一週間くらい入院しなければならなかった。
片足が折れてギプスをしているヨンウンに
ソンミンはシウォンにしてあげるのと同じようにキム・ヨンウンに接した。
ふとんをかけてあげて、汗をかいたら拭いてあげて、キスもして、
タバコを買ってとわがままを言って、リハビリのときには、
シウォンがサッカーをしているときに応援していたのと同じようにヨンウンを応援した。
「怖いな。身体が全然痛くないんだ」
キム・ヨンウンが言った。
「不思議と身体が痛くなくて、それで怖くなる。まるでこれが夢みたいで――。夢だったらどうすればいい?」
「夢じゃだめなの?」と、ソンミン。
「当り前だろう」
「どうして?」
「こんなふうにおまえといられるのが夢だなんてだめだ」
顔を赤くしながら言うキム・ヨンウン。
キム・ヨンウンに対する警戒心を持たないようにしてから、
ソンミンはキム・ヨンウンのさまざまな姿を発見した。
ヨンウンにいじめられていたひどい4年間には見たことのなかった少年っぽい純朴な姿。
まるで初恋に苦しむあか抜けない少年みたいに顔を赤くして恥ずかしがったり、
ソンミンがいなくなるんじゃないかと不安に思って悩んだりしていた。
ときどきソンミンの頭にはシウォンがよぎることもあったが、
そんな純朴なヨンウンのケガの面倒を見ていると、迷いも消えて、ヨンウンに接することができた。
キム・ヨンウンもソンミンを怒ったり殴ったりすることはなくなったし、
だからこそソンミンは警戒心を解くことができた。
↑
悪い循環から良い循環に変わったね。よかったよかった。
私ねえ、もうこの辺すごい嬉しかった。
どうやらりんたろはソンミンとカンインのカップルが好きらしい(笑)
それまで、いつ割れてもおかしくない薄い氷の上を歩いていたふたりは、
はじめて頑丈な道の上を歩き始めていた。
夜、病室で、ヨンウンはベッドに横なり、ソンミンは補助ベッドに横になって眠る前の時間。
「退院したら引っ越ししようと思うんだ」
ヨンウンが言った。
「引っ越しして、転校したほうがいいだろう」
それはシウォンを警戒してのことだとソンミンは理解した。
「俺はそうしたいけど、おまえはどう?」
ヨンウンは控えめに聞いた。
「一緒に行かないか」
ソンミンもそうしなければならないと考えていた。
ヨンウンが退院をしたら学校に行かなければならないし、そうしたら自然とシウォンに会わなければならないから。
「わかったよ」と、ソンミンは答えた。
「ありがとう。おやすみ」
眠るヨンウン。けれどソンミンは眠れない。シウォンの顔が頭をよぎる。
散歩の時間だって、リハビリの時間だって、お昼ごはんの時間だって、いつでもその話をできたのに。
そんな忙しい時間にその話をしてくれたら、シウォンのことを思い出さずに済んだのに。
どうして眠る前の、シウォンのことをたくさん考えられる時間に、
おまえはそんな話を持ち出してくるんだ?
ばかじゃないのか。どうして今言うんだよ。ヨンウン、おまえは本当にばかだ。
こんなふうに親切に、シウォンを思い出す時間を用意してくれなくてもいいのに。
ソンミンは、今ごろシウォンは何をしているんだろうと思った。
友達たちとお酒を飲んでいるか、それともバイクでドライブをしているか、それともあの部屋で寝ているか――。
そう思ったとき、涙がこみ上げてきた。
そんなんじゃだめだ。シウォンはあの部屋でひとりぼちで寝てるなんてみすぼらしい姿じゃだめだ。
遅くまでお酒を飲んで、外泊して、
だってあの部屋にはまだ、俺の着替えも歯ブラシもあるんだから、そんな家にひとりで帰るな。
ソンミンは泣いた。
ヨンウンと一緒にいるようになってから、歯をくいしばって涙なんて流さないようにしていたのに
我慢していた涙がわっと溢れ出した。
布団で口を覆ってこらえようとしたけれど、だめだった。
寒くてぼろぼろのあの部屋で、みすぼらしい姿で一人夜を明かすシウォンの姿が鮮明に描かれた。
シウォンの隣に違う彼女がいる姿は我慢できるのに、
自分のことなどすっかり忘れて友人たちと楽しく遊ぶシウォンの姿は我慢できるのに、
なぜかシウォンがひとりぼっちで夜を明かす姿だけは耐えられなかった。
「足が折れてるんだから、そばにいって涙を拭いてやれないだろ」
暗闇の中でヨンウンの低い声。
「泣くな、畜生」
そしてヨンウンは何も言わずにただ溜息だけを吐いた。
ソンミンのむせび泣く声とヨンウンの溜息があふれる夜は、長くて痛かった。
ヨンウンが退院した。ヨンウンは家で安静にしてなくてはならなくて、
「その間にヨンウンは転校の手続きをして、ソンミンのおばさんにもうまく説明するから
おまえは何も心配しなくていい」とソンミンに言った。
ソンミンは改めてヨンウンのバックにある両親のお金を感じる。
ヨンウンは自分の思い通りに転校もできて、何と言ったかは知らないけれど、
ソンミンがヨンウンと一緒に暮らさなければならない最もらしい理由を作り上げておばさんにも説明して、
ソンミンがやりたくないことは全部他の人にやらせた。
ところでソンミンはヨンウンが入院している間、着替えを取りにいったりシャワーに帰ったり、
よくヨンウンのマンションに通っていたが、そのあいだにソンミンは部屋をきれいに掃除していた。
退院して帰ってきたヨンウンのために。
けれどヨンウンが感動したのは部屋が掃除してあったこととは別のことだった。
キム・ヨンウンの目にとまったものは写真立てだった。
ソンミンはあのときびりびりに破った写真をつなぎ合わせて、
似たような写真立てを買ってきて元の場所に置いておいたのだった。
「ソンミン……お前……」
ソンミンは照れくさくてヨンウンを無視して夢中で荷物を解く。
「これ、おまえがやったのか?」
それでも無視していたらヨンウンが来てソンミンのことをぎゅっと抱きしめる。
「ちょっと、今荷物解いてるんだから離してよ」
「ソンミン、おまえはなんてかわいいやつなんだ」 ←書いてて照れる。
「もう放してよー」
ソンミンはヨンウンの手を振り払おうとするけど、おの力がすごくて抜けられない。
見つめあうふたり(笑)
ヨンウンが真顔で、
「この幸せが夢だったらどうする?」
「じゃあ一発殴ってやろうか。きっとすごく痛いよ」
「それ以外で」
「じゃあ頭から水をかけてあげる。冷たいよ」
「それ以外で」
「じゃあ――」
そのとき、ヨンウンが突然ソンミンにキスをした。 ←やぁだ、照れる。このへん本当照れる。
で、ヨンウンがソンミンを押し倒して、真昼間からやっちゃおうとするんだけど。 ←よいこのみなさん、ごめんなさい。
自分のベルトのバックルを外そうとするヨンウンの手をソンミンがぴしゃりと叩いて、
「ばか! 何興奮してんだよ」
「なんで? いいじゃないか」
「これから荷物解いてごはん食べないといけないし、
シャワーも浴びなきゃならないし、疲れたからちょっと寝ないとだめなんだから」
「おい、イ・ソンミン! おまえのことかわいいって言ったの取り消しだ」
「だったらあれ、捨てちゃってもいいの?」
ソンミンが写真立てに目をやると、ヨンウンはしゅんとしておとなしくなった。
ここらへんのやりとりがねえ、本当に仲のいいカップルになったようで
りんたろさん本当にうれしかったんですよ。
最悪だったふたりの関係が素敵に生まれ変わった!!
前は気がつかなかったが、キム・ヨンウンは料理もよくした。
本当にソンミンが見たことのないたくさんの姿をヨンウンが持っていた。
ソンミンはベッドに座って、ヨンウンの広い背中と肩を見ながら
昔は怖いと思っていたはずのその背中が、
今はなんとなく頼もしいと感じ始めていた。
荷物を整理して、ご飯を食べてシャワーを浴びたらもう夜になった。
夜になるとヨンウンはふとんを敷き始めた。
冬休みのころからずっとそうだったが、ヨンウンはソンミンを犯すとき以外 ←表現が悪い(笑)
一度もベッドに上ってきたことはなかった。
それはヨンウンの思いやりで、大きいベッドはソンミンのものだった。
電気を消して、それぞれ横になったふたり。
ソンミンはずっと病室の狭い補助ベッドで眠っていたから、広いベッドがぎこちない。
「おい、ヨンウン、起きろ。起きろよ、ちょっと」
呼んでもヨンウンは起きないようとしないので、ソンミンは枕もとになった紙屑をヨンウンに投げつけた。
「なんだよ……」
目を覚ましたヨンウンが機嫌悪そうに答えた。
「ベッドの上で寝ろよ。けがしてるんだし」
「何?」
「だから、ベッドに上がってこいって」
「いいの?」
「心変わりする前に早く」
ヨンウンは布団と枕を抱えて立ち上がったが、ベッドをじっと見下ろして突っ立っていた。
「何してるんだよ」
「本当にベッドで寝ていいの?」
「いいって」
「じゃあお前が床で寝るの?」
「なんで俺が床で寝なきゃならないんだよ」
「じゃあベッドで一緒に寝るの?」
「嫌なの?」
「あ、いや、おまえが大丈夫なのかと思って」
ソンミンが少しよけて、場所を譲るとヨンウンはソンミンの隣で横になった。
「ほんとに怖いよ。夢みたいで。これは今俺が寝て見ている夢じゃないのか」
「そうだね。きっと夢だ」
「そうか、やっぱり夢か」
キム。ヨンウンが笑った。
幸せそうなふたり〜。
そしてヨンウンが診察の日。
「準備できたらいくよ」
「早く準備したな」
「早く準備しないとヨンウンが怒るでしょ」
もうすぐ診察時間が終わるので、ふたりは急いだ。
黒い車に乗って病院に向かった。
ソンミンは窓の外を眺めながら、
この車に乗せられヨンウンのマンションに連れて行かれたとき
シウォンが自分の名前を叫びながら走って追いかけてきたことを鮮明に思い出した。
「何を見てるんだ?」ヨンウンが言った。
するとソンミンが何気なく、
「バイクに乗ってたらもっと楽しいのに」と答えてしまう。
ヨンウンの鋭い視線を感じたが、もうごまかすこともできないし、ソンミンは素直に言った。
「バイクのほうが走っている実感が湧くよ。車の中は閉じ込められているようでつまらない」
ヨンウンは知っているはずだった。
ソンミンがバイクを持っていないことも、ソンミンがシウォンのバイクの後ろに乗って登校していたことも。
これまでシウォンの話も他の友人たちの話も、ふたりの間ではタブーだった。それを今、破ってしまった。
ヨンウンが怒り出すのではないかと、ソンミンはびくびくした。
しかしヨンウンが言ったのは意外な言葉だった。
「足が治ったら、バイクを買うから、それまで少し待っていてくれ」
「え?」
「車が嫌なら、バイクを買うよ。これからいろんなところにふたりでいかなきゃならないのに、
車が嫌ならバイクを買うしかないだろ」
「うん…」
「足が治ったらすぐに買うから、それまで少しだけ車でも我慢して」
ヨンウンは気丈な声で言ったが、心は憂鬱であることが明らかだった。
「チェ・シウォンの代わりでもいいんだ」ヨンウンが言った。
「シウォンがおまえにしてやったことは、俺も全部してやりたいんだ。おまえが俺のそばにいるのが嫌にならないように」
「ヨンウン……」
「だから少し俺を見てくれ。こんなに努力してるじゃないか」
「ばかだな、おまえ」
「そうかもしれない」
二人は目を合わせて笑った。
もーーーふたり、ラブラブな雰囲気を醸し出してるでしょ。
そしてこの照れる会話たち。
日本語で書くのも照れるし、本当、もう…どうしようもないくらいラブラブでしょう。
病院の前に車が到着した。
ソンミンは、ヨンウンの真摯な態度にこたえる姿を見せてやるために、
先に降りてヨンウンに手を貸してあげようと思った。
「ちょっと待ってて」
ソンミンは車を降りて反対側に回り、ヨンウン側のドアを開けた。
そのときだった。病院の前にあった人影を見た。幻かと思ったが、幻ではなかった。
それはチェ・シウォンだった。ソンミンはびっくりして、慌てて運転手のおじさんに声をかける。
「あ、おじさん。やっぱりちょっと駐車場に止めてきてふたりで先に病院に入って下さい」
「ソンミン?」
「ちょっとトイレ行きたくなっちゃって。ほら、もう診察時間が終わるだろ。だから先に行ってて」
「ああ、わかった。早く来いよ」
こうしてうまくその場をやり過ごしたソンミン。
チェ・シウォンがやってきた。チェ・シウォンの顔は青白くやつれていた。シウォンは怖い顔でソンミンをにらんだ。
「おい、なんだよ。そんな怖い顔するなよ」
ソンミンは気丈に振舞う。
「ひ、さしぶりだよね。元気だった? なんか顔色よくないね」
しかしシウォンは何も答えない。
「どうして病院に? どこか悪いの? それとも誰かのお見舞い?」
「黙れ!!!」
突然シウォンは怒鳴り、ソンミンの手をつかんで引っ張って行った。
つれていかれた先は、ソンミンのお母さんの病室だった。
「なんだって? 何しに来たんだって? どこか悪いのかって? 誰かのお見舞いかって? ばかじゃないのか!!!」
「シウォン……」
「俺の名前を呼ぶな。俺は死ぬ気でおまえを探してたんだぞ。お前のおばさんの家で一日中待ってたんだ!!
この病院の前でも一日中待ってたんだ。
もしお前が生きているのなら、きっとお母さんの病室には来ると思って!!
もしかしてお前が俺を避けてるんじゃないかって、そう思って、
お前が居留守を使ってるんじゃないかって思って!!
俺はあのキム・ヒチョルに、おまえに会わせてくれって泣きながら頼んだんだ!!」
何も言えないソンミン。
「ヨンウンの家を探したけど、先に手が打ってあって、もう引っ越した後だった。
お前を探そうとあがいたけど、どこにもいなかった。俺がどれだけ怖かったかわかるか?
おまえが俺を探しながら、怖がってるんじゃないか、痛がってるんじゃないか、泣いてるんじゃないかって!!
それなのにおまえは!! 元気だったかって?」
「シウォン」
「久しぶりだって? そんな挨拶がよくできるな。こんな俺を見て、おまえはそんな言葉がよく言えるな。
おまえはそんなにひどいやつだったのか」
シウォンは床に座り込んだ。ソンミンはいつの間にか泣いていた。
こんなに絶望的な二人の関係をどうすればいいのか。
ソンミンは自分さえ犠牲になれば、シウォンも友人たちも楽に暮らせる。
それがシウォンにとっても自分にとっても最善だと思っていた。
しかし、そうじゃなかったのだ。
どうして自分がいなくなっても、シウォンには友人たちがいればそれでいいと思ったんのう。
そんな単純に終わるはずはないのに。
けれど今さら自分が揺れるわけにはいかなかった。もう誓ったのだ。
自分は残忍で無慈悲な人間にならなければならなかった。
もう何もかも忘れてヨンウンだけを見ると誓った。
そう誓ったときから、シウォンが知っているイ・ソンミンは死んだのだ。
シウォンには本当にすまないが、仕方がないことだった。
そして何より、ヨンウンとのきれいな別れ方をするためには、私的な感情に捕らわれてはいけないのだ。
「俺は、ちゃんと暮らしてるよ」
ソンミンは涙を拭いて、落ち着いた声で言った。
「ちゃんと寝て、ご飯も食べて、笑って暮らしてるよ。ヨンウンはもう俺を殴らないんだ。
すごくよくしてくれるし、悪く言わない。ごめんね、シウォン。俺、今幸せなんだ」
実際は、まだそうなろうと努力している途中だが――。
するとシウォンは座り込んだまま、ソンミンを見上げ、鋭い声で言った。
「嘘つくなよ。あいつのそばにいて、おまえが幸せなわけないだろ」
ソンミンはシウォンの顔を見ることができず、自分の足元を見つめた。
「どうして? 理解できないよ。混乱して、頭の中が絡まって。
どうして俺を捨ててまで、ヨンウンのところにいくのか理解できない。
おれはただ、おまえを愛しながら、おまえと幸せに暮らしたいだけなのに……」
ソンミンは答えない。
「もしかしてヨンウンがまた友達たちを苦しめるんじゃないかって心配してるの?
だったらそんな心配いらないよ。俺はお前がいればいいんだ。それに怖いなら、逃げることもできる。
そうだ。あいつに見つからないところにふたりで逃げて隠れて暮らそう。いますぐにでも」
「……」
「どうして何も答えないんだ!」
この地獄のような4年間、自分とヨンウンの切れない縁のことは、シウォンには理解できないだろう。
ソンミンは思った。
シウォンは知らない。俺がシウォンに会うまでの三年間に、どれほどつらい時間を過ごしたか。
ヨンウンにどれだけ傷つけられ、ひどい扱いを受けてきたかひとつも知らない。
そんなシウォンには理解できないだろう。
シウォンが考えているほど、単純に終わらせられる問題ではないのだ。
だから俺はこんなに自分勝手でひどい手段を選んだんだ。
「俺には……耐えられないんだ。シウォンの隣にいることがつらいんだ」
「ソンミナ……」
「シウォンのそばにいるのは疲れるんだよ」
「……」
「同じように笑って、幸せでいられるのなら、俺はシウォンよりヨンウンのそばにいたい。これからはそうしたいんだ」
「……」
「だからどうか、俺を解放してくれ」
シウォンががっくりとうなだれた。
「じゃあね。もしまた会えたら会おう」
ソンミンは病室を出て、ドアを閉めた。その瞬間、病室からシウォンの大きな泣き声が聞こえてきた。
ソンミンは耳をふさいでトイレに行き、泣いた顔を水で洗った。
シウォンとの話が思ったより長引いて、ヨンウンの診察時間も過ぎてしまった。
ソンミンはヨンウンがいる2階に向かった。
ヨンウンは診察室の前のソファにいると思ったが、いなかった。
ソンミンはあちこちヨンウンを探しまわるが、どこにもいない。
そこに、ヨンウンが入院中に仲良くなったナースのお姉さんが来た。
「あ、お姉さん!」
ソンミンは声をかけた。
「あらソンミン、久し振りね」
「うん。ところでヨンウン知らない?」
「ヨンウンなら5階に行ったわよ」
「5階!?」
「あなたがどこにいるか知らないかとヨンウンに聞かれてね。
私、さっき、あなたがお母さんの病室に入っていくのを見たから
そう教えたら、ヨンウンはあなたのお母さんの病室に向かったわよ」
お母さんの病室にはシウォンがいる――。
ソンミンは急いで病室に引き返した。しかし、遅かった。
病室ではシウォンとヨンウンがケンカしていた。
誰のものかわからない血があちこち飛び散って、
ヨンウンがシウォンの胸倉をつかんでいた。
「やめて、ヨンウン、やめて」
止めるソンミン。
「おまえはどいてろ」
ヨンウンがソンミンを押しのけた。
そのとき今度はシウォンがヨンウンを押し倒して、シウォンのほうが有利に。
すると今度は「シウォン、やめて」
シウォンを止めるソンミン。
そうやってもんどりうっているうちに、ヨンウンがシウォンを押し倒した。
そのとき。何かものすごい音がして、はっとした。
見ると、お母さんの人工呼吸器の上にシウォンが倒れこんで、
人工呼吸器が壊れていたのだった。 ←ありえない!!
お母さんのお葬式。
お母さんの白黒の写真。
死んでいるように寝てばかりだったお母さんが、写真の中で笑っていた。
生きているときよりも、死んだあとになってこのように見るお母さんの顔のほうが
生き生きしているように思えて滑稽だった。
お母さんは、あんなふうに綺麗に笑うこともできる人だったんだな。
叔母さんはこの世の終わりが来たかのように泣いていた。
秘密を知るお母さんが死ねば誰よりも気が楽になるはずなのに、
どうして叔母さんはあんなにかなしそうに泣いているのか。
死ぬまで叔母を許すことはできないが、
しかしソンミンは、なんとなく叔母を理解できるような気がした。
人を好きになり、愛するということは、自分の思う通りには行かない。
愛してはいけないと頭ではわかっていても、心は言うことを聞かないのだ。
そんな恋を経験したソンミンには、叔母の不倫を少しだけ理解できる気がした。
一服しようと、ソンミンは式場を出た。
ずっと寝ていたお母さんのお葬式に来る人は少なかった。
一日葬でもよかったが、叔母さんが言い張って三日葬をした。
人があまり訪ねてこないから、ソンミンは自由にタバコを吸うこともできた。
ヨンウンがどれだけお金を使って処理したのかはわからないが、
お母さんの死は単なる医療事故として片付けられた。
ヨンウンは自分だけでは飽き足らず、ソンミンのお母さんの命までも奪った。
それなのにソンミンはヨンウンに対して、怒りも何も起こらなかった。
「何してるんだ」
誰かに肩を叩かれた。
ヒチョルだった。
「別に」
「ひどいやつだな。泣かないのか」
「病院で涙がかれるほど泣いたから」
ソンミンはヒチョルを見た。髪が少し短くなって、顔がやつれていた。
ソンミンは、ヒチョルが自分に言った言葉をふと思い出した。
ヒチョルは、殺したいほどおまえが嫌いだと言った。
「今でも俺を殺したいほど憎いか? 俺に目の前から永久に消えてほしいか?」
「ああ。俺はまだおまえはこの世で一番嫌いで、できれば俺の目の前からいなくなればいい」
「ひどいやつ……」
「でもそれは俺ひとりだけだ。だからもう家に戻ってこい。
もう俺はキム・ヨンウンのことはなんとも思ってないから帰ってこい」
確かにソンミンにはもう叔母さんの家以外に行く場所がなかった。
もうお母さんの病室はないし、ヨンウンの家にもシウォンの家にも行けない。
そのとき、クラスメイトの子たちがやってきた。
「俺達、もう帰るよ。俺たちがいても、もうできることもないし」
「ああ。ありがとう」
「シウォンも連れてこようと思ったんだけど、あいつ、ここ何日か引きこもりで」
「引きこもり?」
「電話も出ないんだ」
「そう」
「元気出せよ。お前にはすまないことばかりなのに、何もしてやれなくてごめんな」
「大丈夫」
「じゃあ、またな。あとで連絡するよ」
ソンミンはあのときのことを思い出した。お母さんの人工呼吸器が壊れたあのとき、
何もできずに固まっていたソンミンとヨンウンとは違って、
シウォンはすぐに医者を呼びに行き、ずっとソンミンの肩を抱いて、
「絶対に大丈夫だ」と繰り返しソンミンに囁き続けた。
そして病院での事件が収まると、シウォンは「ごめん」という最後の言葉を残して、
ソンミンの目の前から姿を消したのだった。
葬式が終わり、叔母さんが一緒に帰るように言ってきたが、
ソンミンは寄るところがあると言い訳して、叔母さんから逃げた。
そしてソンミンは自分に聞いた。
自分はどこに行き、誰を訪ねなければならないのか?
誰の胸に抱かれなければならないのか。
ソンミンは歩きだした。
ここらへん、恋愛シュミレーションゲームの最後みたいでしょ。
いったいソンミンがどっちを選ぶの? 全然わからない! どっちなの?
どうかカンインを選んでほしいとりんたろは切望したよ(笑)
歩き続けたソンミン。
「俺は本当にばかみたいだな」
ソンミンは、目の前にある高い建物を見上げた。それはヨンウンのマンションだった。
やったー!ソンミンはヨンウンを選んだ!! とりんたろ、ここで小躍り。
ソンミンはまるで操られるロボットのように自然にヨンウンのマンションに向かった。
もう自分は根っこまでヨンウンへの服従に染まっていた。
手なずけられて、飼育された自分はロボットだった。
ヨンウンが命令を入力して、ヨンウンが作動させて、ヨンウンが心のままに操る。
ソンミンはヨンウンの部屋のドアを開けた。
しかし、家の中には人のぬくもりが感じられなかった。
たった数日間の間なのに、長い間誰も足を踏み入れなかったかのように
家の中は冷え冷えとした憂鬱な気配を漂わせていた。
家の中にあったすべてのものがなくなり、大きなベッドだけがひっそり家の中を守っていた。
台所の棚にあった、ヨンウンがペアでそろえたグラスも、
洗面所にあった二人分の歯ブラシも、きちんと積んだタオルも、何もかもなくなっていた。
ソンミンはベッドに腰をおろして、あたりを見回した。
ふと、ごみ箱に何かが捨ててあるのを見つけた。
それは、べたべたにテープで張り付けた写真の入った、見慣れた写真立てだった。
ソンミンは直感的に、すべてはヨンウンが決心して起こした行動なのだと悟った。
しかしソンミンは、部屋を出られなかった。
もう何もないこの部屋は、人が生活できる家じゃないのに、
そんなこの部屋を未練なく出ることができなかった。
この家を捨てるなんて命令を、ヨンウンは入力してくれたことがなかった。
ベッドの上に座り、窓の外を眺めた。
やがて、日が落ちて夜が来た。
そのとき、玄関のドアが開く音が、静寂を壊した。
ふと玄関のほうに目をやった。誰かがよろけながら部屋に入ってきて、部屋に明かりをつけた。
ヨンウンがだった。ヨンウンは酔っ払っていて、よろけながらソンミンのほうに歩いてきた。
「どうしてお前がここにいるんだ?」
ヨンウンは理解できないというふうに聞いてきた。
「いったい……どうしてお前が? おまえはもうここに来てはいけないだろ」
「ヨンウン……」
「そんなふうにおれの名前を呼ぶな!」
ヨンウンはソンミンの胸倉をつかんだ。
「ばかじゃないのか。どうしておまえがお前の所にくる? おれはおまえの母親を殺したんだぞ!
おれが! おれがおまえの母親を殺した! それなのにどうして!」
「……」
「どうして来たんだ。どうしてここで俺を待っているんだ」
ヨンウンは崩れおちた。
「俺がおまえから全部奪った。お前を手に入れるために、おまえの周りのものを全部奪って、
ついにお前の母親まで奪ってしまった」
「……」
「おれはそんな自分が怖くてたまらない。こんなふうになりたいわけじゃなかったのに」
ヨンウンは涙を拭いた。
「それとも、まだ俺を愛してくるの? おれがお前を思っているくらい、おまえも俺を思ってくれるの?」
「ごめん……」
えーーーーー!!! ごめんなのぉぉっっ?
そこは違うでしょう。それでもヨンウンを愛するんでしょう。
じゃあなんでヨンウンの家に来たんだ、ばかソンミン! ←小説の中のソンミンに対してですよ(笑)
「ほら見ろ!! やっぱりお前には俺じゃだめなんじゃないか!
こんなに死ぬほどあがいても、俺じゃだめなんじゃないか!
何があっても関係ないと、最後におまえさえ残ればいいと、そう思っていたけど……
結局最後に残ったのはこんなに恐ろしい姿の自分しかいない」
ひざまずいていたヨンウンが立ち上がった。
酔ってよろけながら、ヨンウンはベッドの上に座っているソンミンを見下ろした。
「ソンミン、もう俺を解放してくれ。頼むよ」
「ヨンウン」
「明日、アメリカに行く。おまえから逃げるんだ。もう二度と韓国には戻ってこない」
「……」
「でも、もしかしてまた帰ってくるかもしれないから。そのときはどうか、俺が見つけられないところに逃げてくれ」
ヨンウンは平気そうな声で言っていたが、泣いているに違いなかった。
「二度と俺みたいなやつに捕まるな。二度と俺に捕まるな」
ヨンウンはソンミンに背を向けた。
「頼むよ。最後の頼みだから、聞いてくれるだろ?」
ソンミンはヨンウンの後ろ姿を見つめた。
ソンミンはすべてが終わったと思った。
もう自分には何も残っていなかった。
4年間、自分を苦しめたヨンウンも、
心をつくして愛し、傷を与えたシウォンも、
長い間眠っていたお母さんも、
あっという間に何もかもが蒸発して消え失せてしまった。
彼らがいなくても、自分は感情を感じることができるだろうか? 生きてることを実感することができるだろうか?
ヨンウンのマンションを出たソンミンは、叔母さんの家へと向かった。
ソンミンは、昔に帰ろうと決めた。
シウォンを愛する前。いや、ヨンウンに出会う前に帰ろうと決めた。
お金を使ってばかりの甥っ子として叔母さんの前に立とう。
憎たらしいヒチョルともケンカして、たまには殴られたりしよう。
それでも俺は笑いながら生きていかなくてはならない。
17歳の一年間で、いろんなことが起きた。
友人たちやシウォンに出会った。ヨンウンの本心を知り、
思いもしなかったヒチョルのヨンウンに対する気持ちにも衝撃を受けた。
二度と味わえない幸せと苦痛を17歳で経験した。
まるで無残な事件が相次いで起こる事故多発地域のように、
17歳の一年間は、絶え間なく険しいカーブを描いていた。
そして今、すべてが終わった俺は18歳になった。
17歳のときの、無残で楽しくて不幸で幸せだった思い出を笑って振り返るのも悪くない、
事故多発地域の終わりに立っていた。
もう忘れよう。消そう。泣くそう。
へたくそで、おさなくて、不安定で、はらはらした自分の17歳、事故多発地域を忘却しよう。
18歳らしく。
心が軽くなった。
自分の体を支配していたヨンウンを、心を支配していたシウォンを、人生を支配していお母さんを、
全部まとめて忘却しよう。
そして、叔母さんの家の近所についたとき――。
あるものが目に入り、ソンミンは足を止めた。
「どうしてこんなに遅くなったの? ずいぶん待ったんだぜ」
シウォンが叔母さんの家の前に立っていた。
そのまま。17歳のときと同じ姿で。家の前にバイクを停めて、ソンミンを待っていた。
「おれに連絡もしないで」
シウォンはソンミンに近づいて、17歳のあのときみたいにソンミンを叱った。
「電話してくれたら俺がバイクで迎えに行ったのに。今みんながお酒を飲んでるんだ。行くだろ?」
「シウォン……」
「それでお前を待っていたんだ。一緒に行こうと思って」
「シウォン……」
「一緒に……行かない?」
シウォンがヘルメット差し出しながら言った。
ヘルメットを受け取ってソンミンはシウォンを見た。
ソンミンは何かに操られるように、シウォンのバイクに近づいた。
「少し走っていこう。捕まって」
「うん」
バイクに乗りこんで、シウォンの腰に腕をまわした。うなるバイクの音が冷たい風のよう身体をえぐった。
ソンミンはまだ18歳の、終わらない事故多発地域の上を走っていた。
***
はい、というわけでこれでク(完)ですおー。
ヨンウン!! あんなにひどいやつだと思っていたヨンウンに同情したりんたろうです。
ぜひヨンウンを選んでほしかったのに、
結局姫ソンミンは王子シウォンの元に帰って行ったのでした。
やーどうでしたか? 長かったですね。
もうみんなボロボロでしたね。私もボロボロです。
こんな沈鬱な気持ちを鎮めるために、この写真を見て。

仲のいいヨンウンとシウォンの姿。暗い気持ちが明るくなったね。
ヨンウン、坊主で怖いけど(笑) シウォンは前髪おりててかわいいね。
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( 2010年09月11日 19:14 )
りんたろ | URL | -
Re: タイトルなし
きょんさん
はじめまして^^
コメントありがとうございます♪
お返事遅れましてごめんなさい><
たくさんファンフィクションをお読みいただけて
うれしいです。翻訳したかいあります〜^^
ほんとうにほんとうにありがとうございます♪
これからもよろしくお願い致します♪
( 2010年10月30日 22:44 )
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